2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90116088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨夜 徹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20397615)
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Keywords | スマネン / πボウル / メタロセン / ナンカーボン |
Research Abstract |
フラーレンの部分構造で示されるボウル型分子(πボウル)は、非平面π共役系におけるフラーレンやカーボンナノチューブに次ぐ第3の鍵物質群として考えられている。本研究はπボウル「スマネン」を基軸とし、その有機合成・材料的ポテンシャルを顕在化させ日本発のカーボンナノサイエンス・テクノロジーとして世界に発信することを目指した。 スマネン合成の迅速化とスケールアップに取り組んだ。昨年度開発したワンポット法による鍵中間体ベンゾトリスノルボルナジエン合成のスケールアップを検討し、この手法でグラムスケール合成を達成した。 昨年度合成したスマネンのアリール位同士でカップリングした2量体の動的挙動を温度可変NMRにより調査した。その結果、ボウル構造に由来する2種類のジアステレオマーのうち、一方が他方に比べ非常に安定であることが判明した。また、スマネンのアリール部位からπ共役系のスペーサーを介して2量化したπ共役系拡張分子も新たに合成した。スマネンを塩基存在下、ジアリールケトンと縮合させπ共役系を拡張する方法も見出した。 曲がったπ共役系を有するスマネンの遷移金属錯体合成に取り組んだ。スマネンのベンジルアニオンがシクロペンタジエニル様アニオンであることに着眼し、ペンタハプト型のスマネン錯体の合成に取り組んできた。今年度は、スマネンモノベンジルアニオンのconvex面からペンタハプト型で配位したシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド錯体の合成に成功した。また、Ag(111)上でのスマネン単分子膜の挙動を調査したところ、基板上でのボウル反転を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スマネンのグラムスケール合成法も確立されたため。また、それによりスマネンの分子変換技術や遷移金属錯体合成研究が加速されたため、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スマネンの基礎的な分子変換法や錯形成について知見が得られてきたので、スマネンを用いることで初めて達成され得るユニークな構造やπ共役系を有する炭素共役系分子、高機能錯体触媒、高効率電子材料の創製に取り組む。学術的のみならず産業的にもインパクトの大きな研究を展開する。
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Research Products
(16 results)