2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉄の平面四配位を基盤とした新物質探索と室温機能性の創製
Project/Area Number |
22245009
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陰山 洋 京都大学, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GANESANPOTTI Subodh 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 酸化物 / 磁性 / 超伝導 |
Research Abstract |
当初の研究目的は、平面4配位など特殊な4配位環境に存在するCr,Coなどを含んだ新しい酸化物を合成し、その構造・物性を明らかにすることであった。 現在のところ、幾つかのCo系のペロブスカイト前駆体ACoO3(A=Sm,Nd,Sr,など)を共同研究者と共に合成し、それに還元処理を施して、どのような構造変化が起こるかを探索した。X線回折実験から判断すると、構造は大きく変わったが、従来予想されていた単純な金属の平面4配位構造はとっていない模様である。さらに違う構造が発現した可能性があり、現在更なる実験を行っているところである。Cr系酸化物に関しては、高圧装置の運用が開始していないため、まだ本格的な探索が始動していないが、申請者は固体化学の他の観点から興味深い他の酸化物およびそのアニオン操作反応を試みた。例えばBaSnO3の還元的フッ素化によるA-サイトカチオン選択的除去、V-Mo系酸化物の還元・構造変換、Ba-Ni系酸化物のアニオン不定比性の制御など様々な方面で探索を行った。 その結果、中でも、BaSnO3の研究では、通常では珍しい還元的フッ素化反応を施した結果、構造が大きく変わり、放射光施設で得たデータを下に詳細な構造解析を行った。得られた生成物の組成はBaO.5SnO2-xFyであり、CaTa206などと似たAサイト欠陥方ペロブスカイト構造をとる。磁気特性もフッ素化後が変化しており、大変興味深い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Co系酸化物では、当初とは違う方向であるが、一定に成果が生まれつつある。Cr系酸化物の研究のでは高圧装置が有用であるが、装置本体の仮運転は行っており、付属品の調達が完了すれば実験が開始できる。まだ進展は無いが、他の方面(Snなど)で興味深い結果が得られたため、おおむねに順調、という自己評価にした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.高圧装置関連の付属品をそろえ、実験開始の環境を整える。 2.Co系酸化物は、純度の高い試料を用意し、放射光施設で構造解析用のデータを得る。また、その物性を把握する。 3.Sn酸化物は論文執筆のために他のデータを揃え、執筆を開始する。
|