2010 Fiscal Year Annual Research Report
未利用炭素資源の直截的物質変換をめざした新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
22245016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 直人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30171953)
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Keywords | 炭素-水素結合活性化 / 炭素-酸素結合活性化 / 炭素-フッ素結合活性化 / 炭素-シアノ結合活性化 / 炭素-ケイ素結合活性化 |
Research Abstract |
本研究では、現在の反応性官能基の変換に依存した有機合成化学に革新をもたらすべく、炭素を含む不活性結合の触媒的変換反応の開発を目指した。 炭素-水素結合に関しては、2座配向基を利用するとルテニウムカルボニルを触媒とする飽和炭素-水素結合のカルボニル化反応が進行することを見つけることができた。炭素-水素結合のなかでも最も不活性な飽和炭素-水素結合の活性化が達成できたことは、注目に値する。現在、適用範囲の拡大を検討しているところである。 触媒的クロスカップリング反応、特に鈴木カップリングは、現在の有機合成において欠くことのできない炭素-炭素結合形成法である。求電子剤としては、プロモベンゼン、ヨードベンゼンやスルホン酸エステル類が一般的に用いられてきた。われわれは、ニッケルを触媒に用いると鈴木カップリングが、反応性のきわめて低いアニソールでも進行することをすでに見いだしている。今回は、このアニソール類を用いたアミンカップリングがニッケル触媒で進行することを見いだすことができた。アニソールは、多くの触媒的カップリング反応には不活性なので、本反応は合成ルートの最終段階で利用できる可能性があることから合成化学的にきわめて価値のある反応となることが期待できる。 ニッケル触媒存在下、末端オレフィン部にgem-ジフルオロメチレン基を有する1,6-エンイン類をEt_2Znと反応させると、環化と炭素-フッ素結合の還元的カップリングの両方が起こった双環性化合物が得られた。2つある炭素-フッ素結合のうち1つだけが位置選択的にカップリングすることがわかった。本反応は、炭素-フッ素結合の新しい活性化を含んでいる。
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Research Products
(4 results)