2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國信 洋一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40372685)
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Keywords | レニウム / マンガン / 炭素-水素結合活性化 / フェノール / カルボニル錯体 / 炭素-炭素結合切断 / シラフルオレン |
Research Abstract |
レニウム錯体を一つの探り針(probe)として、新奇な(新規というだけではない)反応を探すことが本研究の目的の一つである。以下の、予想外の反応を見いだすことができた。さらに検討することによりレニウムにとどまらない反応性の開拓につながっていることがわかる。 (1)レニウム触媒を用いると、芳香族C-H結合が活性化できることを以前に見いだしているが、この知見を活かし有機機能性材料として注目されているペンタセンなど多環芳香族炭化水素を合成した。また、本研究の途中、インデノンが予想外の三量化反応をおこすことを見いだした。レニウムのC-H結合活性化の触媒作用とLewis酸性が鍵となっていることがわかった。 (2)レニウム触媒により活性化された芳香族C-H結合に、アレンが挿入すること、さらにその反応が高い位置および立体選択性(ジアステレオ選択性)を有していることを見いだした。 (3)レニウム触媒の反応性を検討していたところ、Si-H結合とC-H結合の活性化による脱水素を伴う分子内Si-C結合形成を見いだした。さらにこの反応がWilkinson錯体(RhCl(PPh_3)_3)を用いると収率よく進行することがわかり、機能性材料であるシラフルオレンの合成に応用した。 (4)レニウム触媒の反応性を検討していたところ、ジアゾエステルと第三級アミンとの反応でC-N結合の切断とC-C結合の形成がおこるという、これまでにない反応を見いだした。最適な触媒をさらに探したところ、鉄触媒がよいことがわかった。この反応ではグリシン誘導体が生成する。 第二の目的は、光や超臨界CO2の装置を新反応のきっかけとして利用することである。この点については、装置の使用に慣れたこともあり、検討を続けている段階である。なお、上記の研究以外にも、イリジウム触媒とジルコニウム錯体を用いてアルカンのC-H結合活性化反応の新しい手法を提唱するとともに、以前報告したインジウム触媒を用いる逆Claisen縮合反応の一般性と適用限界を検討した。 また、レニウム錯体を用いるβ-ケトエステルとアルケンの反応を総合論文として発表するとともに(Pure Appl Chem.2010年7月)、さらに、レニウム-カルボニル錯体の触媒作用と有機合成反応への利用についてまとめ、総説として報告した(Chem.Rev.2011年3月)。
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[Presentation]2010
Author(s)
Kazuhiko Takai, Yoichiro Kuninobu, Atsushi Kawata, Salprima Yudha S., Mitsumi Nishi
Organizer
18th International Conference on Organic Synthesis (ICOS-18)
Place of Presentation
Bergen (Norway)
Year and Date
20100801-20100806
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[Presentation] Indium-Catalyzed Retro-Claisen Rearrangement2010
Author(s)
Shun-ichi Yamamoto, Atsushi Kawata, Taihei Noborio, Takashi Matsuki, Kazumi Takata, Yoichiro Kuninobu, Kazuhiko Takai
Organizer
The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2010)
Place of Presentation
Honolulu
Year and Date
20100718-20100723
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