2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國信 洋一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40372685)
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Keywords | レニウム / マンガン / 炭素-水素結合活性化 / カルボニル錯体 / 炭素-炭素結合切断 / シラフルオレン / カルボン酸配向基 / シクロペンタジエン |
Research Abstract |
レニウムやマンガンの錯体を一つの探り針(probe)として、新奇な反応を探すことが本研究の第1の目的である。以下の、予想外の反応を見いだすことができた。 (1)レニウム触媒を用いると、β-ケトエステルノ炭素-炭素結合の切断がおこなえるが、β-ケトエステルだけでなくケトスルホンでも同様の反応がおこなえるjことが分かった。この反応をβ-ケトスルフィドを原料におこなったところ、ケトスルホンの場合とは異なり、炭素-硫黄結合がされることを見いだした。前者は論文として、後者は日本化学会第92春季年会で報告した。 (2)これまでレニウム触媒を用いるC-H結合活性化反応では、sp^2窒素を有する官能基、たとえばピリジル基やイミンなどを配向基として用いることができたが、酸素原子をもつ官能基は配向基としては働かなかった。こ研究により、芳香族カルボン酸あるいはアクリル酸のカルボキシル基が配向基として働き、オルト位のC-H結合活性化がおこなえることを見いだした。 (3)炭素-炭素結合の切断は容易ではない。ケトンにカルボジイミドとマンガン触媒を作用させると、ケトンのカルボニル炭素とα炭素との間の結合が切れ、アミドが生成するという異常な反応を見いだした。この反応はマンガン錯体を触媒として用いることが必須である。 上記以外にも、レニウム錯体の奇妙な反応性からをきっかけとして、インジウムやパラジウム錯体を触媒として用いる新しい手法を見いだし、一般的な反応として仕上げた。 第2の目的は、光や超臨界CO_2の装置を新反応のきっかけとして利用することである。この点については、装置の使用に慣れたこともあり、さらに検討を続けている。 また、レニウム錯体を用いるレニウム-カルボニル錯体の触媒作用と有機合成反応への利用についての英語での総説(Chem.Rev.2011年)および日本語での総合論文(触媒2011年)を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定外の反応を見つけるという目標はなかなか難しいものであるが、丁寧な観察と豊富な実験量で出会う確率は向上する。今回、ケトンにカルボジイミドとマンガン触媒を作用させると炭素-炭素結合が切断できること、カルボン酸の酸素原子がレニウム錯体の反応において配向基となることなど、予想以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに丁寧な観察をおこない研究を続ける。現時点では光や超臨界CO_2の装置を用いての反応においてはなかなか結果が出ていない。さらに検討を続ける予定である。
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Research Products
(20 results)