2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國信 洋一郎 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40372685)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レニウム / マンガン / 炭素-水素結合活性化 / 炭素-炭素結合切断 / ピリジン / チオケトン / シラフルオレン |
Research Abstract |
レニウムやマンガンの錯体を一つの探り針(probe)として、新奇な反応を探すことが本研究の一番の目的である。本年度は以下の予想外の反応を見いだすことができた。 (1) レニウム触媒を用いると、β-エナミノケトンの炭素-炭素結合の切断がおこり、アルキンとの反応でピリジンが生成することがわかった。この反応は多置換ピリジンを位置選択的に合成する有用な反応である。本反応は論文(Org. Lett.)として報告した。 (2) レニウム触媒を用いるα-チオケトンの炭素-硫黄結合を切断と、その中へのアルキンの挿入によるγ-チオα,β-不飽和ケトン合成の反応を見いだした。本反応も論文(Org. Lett.)として報告した。 (3) レニウム錯体を用いることで、ヘテロ原子-水素結合の活性化を利用する炭素-水素結合活性化反応を見いだすことができた。この反応は最終的にはロジウム錯体触媒を用いるシラフルオレンの合成に応用したが、本年はさらに、スピロシラビフルオレンの不斉合成をおこなった。本反応は論文(Angew. Chem. Int. Ed.)として報告した。 (4) (3)からさらに派生した研究であるsp3炭素-水素結合の活性化反応も見いだし、論文(Org. Lett.)として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共同研究者の異動に伴い、前期2-3ヶ月ほど研究代表者のみで主たる研究組織を切り盛りすることとなった。しかし、その間も研究分担者と密接に連絡をとることで研究を進め、レニウム錯体触媒を用いることで炭素-炭素結合切断反応が進行し、多置換ピリジンやγ-チオα,β-不飽和ケトンが生成する反応を見いだすことができた。(前者はSYNFACTSにも掲載された。)さらに、昨年度ロジウム錯体を用いるシラフルオレン合成をレニウム錯体を用いる反応の研究から見いだしていたが、本年度はその新しい展開としておこなったスピロシラビフルオレンの不斉合成がAngew. Chem. Int. Ed.に掲載されるなど、大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに丁寧な観察をおこない研究を続ける。とくに、本研究で見いだされた反応の延長上にある研究(C-H結合活性化反応など)を積極的に推進する。また、光発生装置やマイクロウェーブを用いる反応についてもさらに検討を続ける。
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Research Products
(9 results)