2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245028
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 淑仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70335991)
蒲池 高志 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (40403951)
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Keywords | 量子化学 / 生体関連化学 / 酵素化学 / 生物無機化学 / 触媒化学 |
Research Abstract |
本年度は、酵素触媒反応に関する理論的研究および分子内と分子間の電子移動に関する理論的研究を行った。とくに、ジオールデヒドラターゼによるグリセロール脱水反応における不活性化メカニズムに関する研究を全原子モデルを用いてQM/剛計算により行った。量子化学計算を行うQM領域の原子は反応に重要な10個のアミノ酸残基、金属イオン(Ca2+)、グリセロール、アデノシルラジカルのリボース部位の全109原子とした。QM領域ではTURBOMOLEプログラムを用いてB3LYP法で計算を行い、基底関数はSV(P)を適用した。それ以外の領域を古典力学に基づく計算を行うMm領域として力場にCHARMmを適用し、計算をDL_POLYプログラムで行った。水素引き抜き、水酸基転移、および水素再結合過程を解析し、反応に伴うエネルギー変化を評価した。その結果、水酸基転移の活性化エネルギーがふたつの基質結合構造の間で大きく異なった。また、水酸基転移反応と競争的に進行する不活性化反応を提案した。さらに、Karunadasaらによるモリブデン-オキソ錯体を用いた水からの水素ガスを発生の反応機構の詳細を密度汎関数計算から明らかにした。この反応経路には、二重項と四重項のふたつのスピン状態が関与している。それに伴い、自由エネルギー面は複雑に交差している、遷移金属の関与する反応では、このように二つ以上のスピン状態が複雑に関係するスピンクロスオーバー反応はとくに珍しい現象ではない。反応過程のスピンクロスオーバーにより、反応障壁が実質的に下がることもある。これらの反応機構解析は、水分解を行う人工錯体の開発およびヒドロゲナーゼ酵素で起こる化学過程の理解の助けとなると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通以上に研究が進展し、学会や論文誌に成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
特に問題点が発生していないため、研究計画にのっとり研究を遂行する。
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