2012 Fiscal Year Annual Research Report
光合成系をモデルとした光応答超分子ナノデバイスの構築
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22245030
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
民秋 均 立命館大学, 薬学部, 教授 (00192641)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 光物性 / マイクロ・ナノデバイス / 生体分子 / 光合成 |
Research Abstract |
1. 会合性ポルフィリン類の合成:クロロゾーム型クロロフィルをモデルとして、アキシャル配位子を取りやすいポルフィリン亜鉛錯体の3位に、含窒素ヘテロ環を直結させた化合物を合成した。また、新たなクロロゾーム型自己集積クロロフィルとして、遺伝子改変した緑色光合成細菌から、8-ビニルバクテリオクロロフィルcとバクテリオクロロフィルfを生化学的に合成した。 2. J会合体の構築:上述の合成・天然ポルフィリン分子を、ヘキサンをベースにした低極性有機溶媒中やミセル水溶液中において、クロロゾーム型J会合体を形成させた。 3. 超分子構造を規制した会合体の構築:温度や溶媒極性等の会合の外部環境を変化させることで会合度の制御を試みた。ゆっくりと会合体を形成させることで、ナノメーターサイズで超分子構造が揃った集積体を形成することに成功し、AFMで確認した。 4. 階層を制御した超・超分子系の構築:自己集積型のポルフィリン分子の17位エステル部に相互作用しうる官能基を予め導入しておくことで、ポルフィリンJ会合体同士が相互作用することを、AFMとSEMで確認した。 5. 超分子系での機能創出:ポルフィリンπ系のJ会合体に、クロリンやバクテリオクロリン単量体を少量添加して、前者の選択的光励起に伴う後者へのエネルギー移動を検討した。時間分解蛍光発光分光法で測定を行い、グローバル解析によって、効率のよい励起一重項エネルギー移動を確認した。特に、エネルギー受容体としてクロリンπ系を用いた系は、これまでにない高いエネルギーレベルでの人工アンテナ系となることが判明した。あわせて、クロリンπ系から、アザBODIPY系への励起エネルギー移動ばかりでなく、電子移動にも成功し、近赤外部で駆動可能な光電池への応用も可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)会合性ポルフィリン類の合成は、緑色光合成細菌の遺伝子改変に成功し、予想以上の進展が見られた。2)J会合体の構築と3)超分子構造を規制した会合体の構築は、ほぼ予定通りの進展がみられた。4)階層を制御した超・超分子系の構築と5)超分子系での機能創出については、平成25年度に向けての発展の基礎となるところには成功しており、達成度は及第点と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基にして、さらに1)新規な会合性ポルフィリン類の合成と2)それらのJ会合体の構築を行いつつ、3)超分子構造を規制した会合体の構築と4)階層を制御した超・超分子系の構築を進めていく。走査型プローブ顕微鏡を駆使しつつ、高度な時空間分光法も活用して、5)超分子系での機能創出や6)光応答超分子ナノデバイスの創製も目指す。
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Research Products
(54 results)