Research Abstract |
結晶形態を制御したアナタース型酸化チタン調製法の最適化:平成22年度にひきつづき調製法の最適化をはかるとともに,1回の合成で得られる酸化チタン量を増大させるべく,装置と運転条件の改良を行った結果,比表面積が約30m2g-1でほぼ均一な粒径の十面体形状アナタース型酸化チタン微粒子を1回あたり約5~10gの収量で合成する条件を確立した. 水熱処理法との併用による高活性化:従来から,水熱処理法により結晶形態を制御できることは知られていたが,粒子どうしの凝集,成長が起こる問題点があった.しかし,本研究の手法によって気相合成した微粒子は,その表面が安定化しているため,凝集が起こりにくいと予想され,水熱処理条件下において,表面およびバルクの結晶欠陥が減少することが期待できる.急速加熱急速冷却法気相合成サンプルの水熱処理により,試料によりばらつきはあるが,平均で数パーセントの活性向上が得られた.これは,もともとの結晶性が高いために,向上度合いが小さくなったものと思われる. 結晶形態を制御したアナタース型酸化チタンの構造特性と光触媒活性の評価:調製した酸化チタン微粒子の構造評価と光触媒活性の評価をを行った.さらに,結晶欠陥による再結合の起こりやすさは,励起波長,すなわち吸収される光のエネルギーとも関連するため,既存の多波長照射分光器を利用して作用スペクトルを取得し,これにもとづいて再結合反応の解析を行った.また,フッ素や窒素などをカチオンとしてチタンイオンと置換させたいわゆるドープ型酸化チタンについて,本研究の調製法を応用して後処理によるドーピングを行うことによって,可視光を吸収し,なおかつ結晶欠陥による再結合が少ない高活性可視光応答型酸化チタン光触媒を試作し,その反応機構を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤外線電気炉と白金箔,石英管を用いる急速加熱・急速冷却法による十面体形状アナタース型酸化チタンの合成条件をほぼ確立し,十面体形状粒子比率80%以上,比表面積20 m2 g-1以上で粒径分布が狭く,かつ,二次粒子をほとんど形成しない単分散粒子を効率よく合成することが可能となった.また,光触媒活性,結晶格子欠陥,作用スペクトル解析による反応機構の評価の各手法についても効率化が図られた.
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