2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 亮 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80256495)
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Keywords | 高分子ゲル / 機能性材料 / バイオミメティックス / 自己組織化 |
Research Abstract |
これまでに、N-isopropylacrylamide(NIPAAm)にBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応の金属触媒であるRu(bpy)3を共重合させることにより、外液一定条件下で自律的に周期変化を引き起こす自励振動ポリマーを開発してきた。BZ反応基質溶液中では周期的にRu(bpy)3の価数が変わるため水和/脱水和がおこり、ポリマー鎖の自律的なコンフォメーション変化が誘起される。この自励振動ポリマーを表面に固定することで、自律的な電位変化とそれに伴う親疎水変化や膜厚の振動を伴う新規な動的界面を創製することが可能である。こうした自律性をもった動的界面によって新しい送液や物質輸送の制御方法の確立が期待される。本研究では、そのための基礎として、表面開始型原子移動ラジカル重合法(SI-ATRP法)を用いて鎖長が制御された自励振動ポリマーを基板表面に修飾し、その自律的な振動挙動を解析・評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SI-ATRP法により自励振動高分子修飾基板を作製し、XPS分析などにより修飾を確認した。また、Ru2+とRu3+状態におけるゼータ電位測定・液中接触角測定・表面構造観察の結果、接触角において有意な差がみられ、親疎水性の違いを利用した物質輸送表面への応用が期待される。また、自励振動高分子修飾基板においては中間反応物質の拡散を制御することでBZ反応生起を確認することができた。ガラスキャピラリー内に自励振動高分子を修飾し、閉鎖微小空間を作製した結果、BZ反応の伝播が生起することを確認した。以上のように、ポリマーブラシ表面の作製とその評価を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
このような自律性をもった動的界面を創製することによって、新しい送液や物質輸送の制御方法の確立が期待される。今後、実際にモデル物質を用いて物質輸送系の構築を目指す。
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