2011 Fiscal Year Annual Research Report
超薄型結晶Si太陽電池の製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術の開発
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22246017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安武 潔 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80166503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 弘章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10233660)
大参 宏昌 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00335382)
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Keywords | シリコン / 大気圧プラズマCVD / エピタキシャル成長 / 太陽電池 / 超薄型Si結晶太陽電池 / 多結晶Si / 高速成膜 / 表面パッシベーション |
Research Abstract |
本研究は、大気圧プラズマCVD法によるSi結晶成長において、プラズマ物性と表面反応過程に関する基礎研究を行うことによってSi成長速度とSiH_4利用効率の向上を図るとともに、多結晶SiやポーラスSi上のSiエピタキシャル成長特性、および大気圧プラズマ酸化により形成した表面パッシベーション膜の特性を明らかにし、廉価な基板上、あるいは自立型の超薄型結晶Si太陽電池の製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術を開発することを目的とする。 (1)成膜条件と成膜速度および膜特性の関係解明 Si成長条件と結晶性、成長速度、SiH_4利用効率の関係を調べた。成長速度の高速化には、プラズマギャップの縮小や成膜温度の上昇が有効である反面、SiH_4利用効率が低下する。そこで、電極中のSiH_4消費を防ぐための電極水冷機構を設置した。その結果、成膜速度を5倍、SiH_4利用効率を2倍に向上させることができた。 (2)大気圧VHFプラズマの診断 発光分光法により成膜中のSiラジカル発光強度を測定した結果、電極温度の変動に伴って発光強度が大幅に変化することが分かった。新規に設置した電極水冷機構を用いて温度制御することにより、成膜中の発光強度変動を10%以下に抑えることが可能になった。これにより、良好なドーピング特性が期待できる。 (3)ガス流れの熱流体解析 投入エネルギーをSi成膜に対し有効に利用するため、ガス流れ、温度分布の熱流体シミュレーションを行った。解析結果に基づいて、最適化された電極構造の設計を行った。 (4)Si太陽電池作製に向けた表面パッシベーション膜の形成 大気圧プラズマ酸化による表面パッシベーション膜の形成を行い、界面準位密度、表面再結合速度の測定を行った。 その結果、400℃の大気圧プラズマ酸化により、900℃のドライ熱酸化と同等の酸化速度で、緻密性および界面特性に優れた酸化膜が形成可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Siエピタキシャル成長の高速化とプロセスの安定化が進んだことにより、太陽電池用Si結晶膜(厚さ約20μm)の高速形成の見通しが得られたこと、およびSi太陽電池用表面パッシベーション膜の高速形成に関しては、当初の計画以上に進展したことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
超薄型結晶Si太陽電池製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術を開発するためには、Si成長、ドーピング、表面パッシベーション等、種々の要素技術について、プロセス条件と膜特性の関係を明らかにする必要がある。それらは多くのパラメータと絡み合っているため、ラジカル密度等の内部パラメータを明らかにする必要があるが、大気圧プラズマでは測定法が確立していないことが問題である。本年度実施したプロセス安定化により、特定パラメータの影響を抽出することが可能になったため、今後、プロセス条件と膜特性の本質的関係を明らかにするとともに、単純な系(O_2, H_2プラズマなど)のラジカル密度測定を行うことによって、両者を対比しながら総合的に研究を推進する。
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Research Products
(10 results)