2012 Fiscal Year Annual Research Report
超薄型結晶Si太陽電池の製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術の開発
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22246017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安武 潔 大阪大学, 工学研究科, 教授 (80166503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大参 宏昌 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00335382)
垣内 弘章 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10233660)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シリコン / 大気圧プラズマCVD / エピタキシャル成長 / 太陽電池 / 超薄型Si結晶太陽電池 / 多結晶Si / 高速成膜 / 表面パッシベーション |
Research Abstract |
本研究は、大気圧プラズマプCVDによるSi成長において、成長速度とガス利用効率の向上を図るとともに、廉価なSi基板上のエピタキシャル成長特性、および大気圧プラズマ酸化による表面パッシベーション特性を明らかにし、超薄型結晶Si太陽電池の製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術を開発することを目的とする。 ①Si太陽電池構造の最適設計: p+np+構造について、種々のパラメータと変換効率の関係をシミュレーションした。その結果、光閉じ込め率 >80%、ライフタイム >30μs、表面再結合速度 <100cm/s、裏面再結合速度 <1000cm/sであれば、セル厚さ >20μmで、22%以上の高変換効率が可能であること、および表面再結合速度の低減が重要であることが明らかになった。 ②成膜条件、成膜速度と膜特性の関係: プロトタイプ電極水冷機構について、ガス流れと温度分布の熱流体解析を行い、より冷却効率と温度分布の均一性に優れた電極を設計製作し、設計仕様が満足されていることを実験により確認した。 ③Si太陽電池用表面パッシベーション膜の形成: 大気圧プラズマ酸化速度に対する直流バイアス印可効果を調べた結果、-500 ~ +500 Vの範囲のバイアス印可において、酸化速度は殆ど変化しないことが明らかとなった。Siの低圧プラズマ酸化は、膜中のO2-イオンの拡散律速であると報告されているのに対し、大気圧プラズマ酸化では、中性Oラジカルの拡散が律速していると考えられる。 ④Arガスベースのオープンエア大気圧プラズマプロセスの開発: 真空排気なしのオープンエアでの大気圧プラズマ酸化特性を調べた。その結果Heの場合、これまで同様の優れた界面特性の酸化膜を形成することができた。Arの場合、同条件では酸化膜形成領域が減少して膜厚均一性が低下するが、形成された酸化膜はHeと同等のすぐれた界面特性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションによって得られた高変換効率エピタキシャルSi太陽電池の最適化構造は、本プロセスによって形成可能な範囲にあること、および最近顕在化してきたHeの供給不足に対応できるSi太陽電池用表面パッシベーション膜の高速形成に関しては、Arをベースガスとするオープンエア大気圧プラズマ酸化プロセス実現の見通しが得られたことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
超薄型結晶Si太陽電池製造を可能とする大気圧プラズマ高速成膜技術を開発するためには、Si成長、ドーピング、表面パッシベーション等、種々の要素技術について、プロセス条件と膜特性の関係を明らかにする必要がある。それらは多くのパラメータと絡み合っているため、プロセス条件とプラズマ状態および膜特性の間の基本的関係を明らかにすることが重要である。今後、単純な系(O2, H2プラズマなど)で得られたラジカル密度のプラズマ条件依存性のデータを含めて総合的に検討することによって、プロセス条件と膜特性の本質的関係を明らかにしながら研究を推進する。
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Research Products
(11 results)