2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロビームセンサの学理とバイオ・ケミカルセンシングへの展開
Project/Area Number |
22246026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20179550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 厚史 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10243924)
藏田 耕作 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00368870)
内田 悟 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80038041)
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Keywords | MEMSセンサ / 熱物性値測定 / 定常測定 / 熱伝導率 / 微量測定 / 水素センサ / アレルギーセンサ / TCD |
Research Abstract |
本研究は,長さが10μm程度の微細なビーム型MEMSセンサを用いた流体の新しい熱伝導率測定法とこのセンサの用途展開に関する研究である.本年度の成果は以下のとおりである. 1.熱伝導率測定の実証について 長さ9.2μm,幅0.39μm,厚さ68nmの金センサを作製し,空気およびFC-72を試料とした加熱実験を行った.その結果,センサの温度上昇の熱伝導率依存性は認められたものの,空気中でのセンサ温度上昇は熱伝導率がほぼ2倍のFC-72の場合より10%程度しか大きくなかった。その原因は,前年度に試作した白金センサに比べて金センサの熱コンダクタンスが大きいため,発熱量の大部分が試料ではなく基板に伝わったことにあると考えられる.したがって,金センサの場合には,最適な諸元を決定し直す必要がある. 2.水素センサへの応用について ガス専用の測定容器を製作し,白金センサを用いて,ヘリウム,窒素,水素-窒素混合気を試料とした実験を行った.その結果,センサ温度上昇には熱伝導率の違いによる差が認められ,水素検知の可能性が明らかになった. 3.センサ出力に及ぼす流れの影響について センサ周りに空気流を付与する装置を製作し,流速0~1m/sの範囲でセンサの温度上昇を測定した.その結果,この範囲内では流れの影響は無視でき,ガス検知器やガスクロのTCD(熱伝導率検出器)としての利用が可能であることが明らかになった. 以上に加えて,アレルギーセンサへの応用のため,IgE抗体を特異的に検出できる抗原の固定化についての知見を実験的に得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数の研究を同時に並行して行っているため,全体的には研究が進んでいるが,静電気によるセンサの破断が頻繁に生じているためその対策に多くの時間を費やしている.また,センサの電気的特性およびセンサ電極とリード線の接合部の安定性に問題があると考えられ,それらの解決のため試行錯誤を繰り返している.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の問題を解決するため,センサおよび電極接合部の熱処理の方法が電気的特性の安定性に及ぼす影響について十分に検討する予定である.この問題が解決すれば,研究は一挙に進展すると期待できる.また,アレルギーセンサへの応用を見据えた金センサについては,数値解析によりその諸元を検討し直す予定である.
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Research Products
(1 results)