Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 吉弘 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00137407)
小林 幸徳 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10186778)
原田 宏幸 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90301936)
江丸 貴紀 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30440952)
星野 洋平 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90374579)
|
Research Abstract |
レーザー加振による高周波帯域振動計測法を確立し,構造物の故障診断技術および真空チャンバを用いた真空環境振動試験技術,ならびにスマートマイクロ構造の制振特性を評価する技術を開発した.構造物の異常診断技術に関し,構造物に締結されたボルトの緩みを異常状態と定義し,その異常を検知する技術を開発した.本検討では,ボルト締結トルクの微小な変化に対し,高周波帯域で動特性の変化を識別できることを示し,RT法を用いて解析することにより,異常の検知および特定が可能であることを検証した.次に,真空環境における膜構造の振動特性を計測するシステムおよび技術を提案・開発した.ここでは,カプトン膜を対象とし,YAGレーザーとLDVを用いて,加振力の作用および応答検出ともに非接触で膜構造の振動計測を行うシステムを開発した.本実験では,インパルスハンマ加振とレーザー加振による振動特性,膜の張力,レーザー出力およびチャンバ内空気圧を変化させた場合の振動特性を計測し,各条件における振動特性を比較・評価した.そして,本実験システムおよび計測技術が,宇宙環境を想定した真空チャンバ内における膜構造の振動計測に有効であることを検証した.さらに,マイクロカンチレバーを振動制御の対象とし,スマート構造化した微小な片持ち梁の制振特性を評価する手法・技術を開発した.まず,複数の点においていくつかの方向から加振した際のマイクロカンチレバーの振動特性を計測し,有限要素法との比較から微小構造物に対するレーザー加振による振動特性評価の信頼性を確認した.次に,PZTを用いてマイクロカンチレバーのスマート構造化を行い,スマートマイクロカンチレバーのモデルを構築した.そして,H2仕様に基づく振動制御系を設計し,実システムで振動制御実験を行い,スマートマイクロ構造の制振特性を評価し,提案する非接触レーザー加振/計測技術の有効性を検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
学会発表や市場調査等を通じで,当初の研究計画では想定していなかった重要かつ新たなニーズが発見され,本研究で開発する技術をシーズとして,これらの要求に対応できる可能性があることが判明した.そこで,これらの課題に対応すべく,検討を進めた結果,本技術による課題解決およびブレークスルーが実現された.これらの成果は,本実績報告書の研究発表に含まれている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本技術の大きな特徴は,計測における入力作用および出力計測をともに非接触にできるため,機械システムの実稼動時振動計測が可能な点である.回転ディスクやタービンなどの実稼動時振動計測を行う場合,回転体と加振力作用の同期をとること,場合によってディスクの回転座標系における計測が要求されること,などが課題として挙げられ,それに対応できるよう本技術を拡張していく必要がある.また,スマートマイクロ構造の制御特性評価に関して,対象のさらなる小型化と高周波数帯域計測の評価を行っていく.ここで,本計測技術の基礎となっているレーザーアブレーションに加え,レーザーブレイクダウンという現象を積極的に利用する加振技術を検討する.レーザーブレイクダウンとは,空気中でプラズマを形成する現象であり,本現象を用いることにより完全非破壊の加振力作用が実現され,マイクロ構造や柔軟な構造体の加振に有効であり,本技術への発展的な導入を行う.
|