2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22246043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斗内 政吉 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40207593)
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Keywords | テラヘルツ波 / 強相関電子材料 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
今年度は、1)音響光学素子(AOM)を用いたテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM)の高速化、2)ポンプ-プローブ方とLTEMを組み合わせたダイナミックテラヘルツ放射顕微鏡(DTEM)の構築およびこれを用いた半導体キャリア観察、3)格子歪みに起因するSrTiO_3薄膜のソフトモードシフトおよび強誘電性のテラヘルツ分光による観測、を行った。1)ではこれまでテラヘルツビームを機械的に変調していたものをAOMによる高速変調方式のシステムに切り替え、データ取得スピードの高速化を図った。これにより、画像データの取得に10分近くかかっていたものが1分以内で行えるようになった。2)では、局所テラヘルツ放射強度の空間的なマッピングが可能なLTEMと光励起キャリアの挙動をフェムト秒の時間スケールで計測できるポンプ-プローブ法を組み合わせることにより、励起キャリアの空間的・時間的なダイナミクスを同時に計測可能なDTEMを構築した。さらに、DTEMを用いて低温成長GaAs光伝導スイッチを観察した結果、励起キャリアのスクリーニング効果による局所電界分布の変化に起因する、テラヘルツ放射強度の著しい位置依存性があることが明らかとなった。3)では、MgAl2O4(MAO)基板上に作成されたSrTiO_3薄膜は基板面内方向に3.50%の引張歪みを持ち、強誘電性の発現に直接起因するソフトフォノンモードのソフトニングが明確に観察され、強誘電性が発現していることを確認した。また、強誘電転移温度以下でダンピング係数が増加し、また誘電率虚部が理論曲線から外れ上昇していることなどから、歪みにより誘起された局所的な変位型強誘電ドメインが、マクロには秩序無秩序型の強誘電的挙動をしていることを明らかにした。
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Research Products
(17 results)