2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22246043
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斗内 政吉 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40207593)
|
Keywords | 強相関電子材料 / 高強度テラヘルツ波 / 非線形効果 / テラヘルツイメージング |
Research Abstract |
本研究は、次世代電子材料・デバイス開発に資する強相関電子材料の新規な光・テラヘルツ波機能を探索・創製すること、並びに、そのために新しい研究手法を開拓し、大きな波及効果を生み出すことがねらいである。平成23年度は1)ダイナミックテラヘルツエミッション顕微鏡(DTEM)の開発、2)高強度テラヘルツ波による強相関電子材料の非線形応答の観測、3)Ru系酸化物導電体のテラヘルツ波による異方性計測、4)テラヘルツ近接場顕微鏡の設計、等を行った。DTEMの開発においては、従来のLTEMとポンププローブ法とを組み合わせることにより、光励起キャリアの時間的・空間的計測が可能となった。GaAs光伝導スイッチをテストサンプルとして計測し、バンド曲がりの効果により正極と負極で非対称なテラヘルツ放射効率を持つことを見いだすなど、その有効性を確認した。高強道テラヘルツ波による非線形応答計測では、量子常誘電体SrTiO_3(STO)薄膜および高温超伝導体YBa_2Cu_3O_7-y (YBCO)薄膜をサンプルとして測定を行った。その結果、STOではフォノンの非調和応答によるソフトモードのハードニング、YBCOでは超伝導ギャップより遙かに小さいエネルギーのフォトンによる電子対破壊(電界効果による対破壊)と言った新規な現象を見いだした。SrRuO_3のテラヘルツ分光による光学伝導度計測では、従来より遙かに大きな異方性を観測した。また、反射型近接場テラヘルツ放射顕微鏡の開発に着手し、現在設計および部品の発注を終え、システム構築中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイナミックテラヘルツ放射顕微鏡の開発に成功し、強相関電子材料(量子常誘電体、高温超伝導体)のテラヘルツ非線形効果を初めて観測するなど、ほぼ当初の目標を達成している。近接場テラヘルツ放射顕微鏡(SNF-LTEM)についてはやや遅れているが、技術的に大変高度であるため想定の範囲内である。最終年度には、当初の目標を達成できるように開発を進めたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りDTEMおよびSNF-LTEMの開発を進め、強相関電子材料の高速キャリア応答計測やドメイン評価法としての基盤技術を確立する。また、様々な強相関材料のテラヘルツ物性計測および機能開発においては、強誘電体、超伝導体、強磁性伝導体など様々な材料を用いた研究をすでに行い、興味深い結果を得ている。今後さらに磁性、誘電性、マルチフェロイックおよび金属-絶縁体転移といった、特徴ある物性と利用したテラヘルツ機能材料の探索を推進する。
|
Research Products
(16 results)