2011 Fiscal Year Annual Research Report
シャノン限界を目指した超長距離・大容量コヒーレント光伝送システムの研究
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22246046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 和朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50134458)
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Keywords | 情報通信工学 / フォトニックネットワーク |
Research Abstract |
ナイキスト波長分割多重技術は,帯域が符号速度周波数の矩形状光スペクトルを有する光信号をギャップなく波長軸上に配置する方式である。これによって1symbol/s/Hzの周波数利用効率が実現される。本研究では、ナイキスト波長分割多重・偏波多重QAM光信号のビット誤り率特性を実験的に評価し,以下の成果をあげた。 (1)ディジタル信号処理(DSP),ディジタル・アナログ変換器(DAC),IQ光変調器を用いて,符号速度10Gsymbol/sにおいて10GHz帯域の矩形状光スペクトルを有する4QAM,16QAM,64QAM光信号を発生させた。 (2)そのQAM信号2チャネルを波長多重し,クロストーク特性を明らかにした。10GHzの周波数チャネル間隔において,4QAMではパワーペナルティは確認されなかった。16QAMおよび64QAMでは,それぞれ,1dBおよび2dBのパワーペナルティが示された。これらの劣化は,時間インターリーブDACのチャンネル不整合により生じる,受信信号のスプリアススペクトルによるものであることがわかった。 (3)また,10Gsymbol/sナイキスト波長分割多重・偏波多重64QAM信号の50km伝送実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
判断の理由は以下の通りである。 (1)オフセット周波数は手動で調整してはいるが,ナイキストWDM偏波多重QAM光信号のビット誤り率特性を,実験的に評価することができた。デジタル信号処理回路,デジタル・アナログ変換器,IQ光変調器によって,10GHz帯域の矩形状光スペクトルを有する10Gsymbol/s偏波多重QAM光信号を,周波数間隔10GHzで周波数多重する技術が確立された。 (2)さらに,back-to-backおよび伝送実験により,ナイキストWDM偏波多重QAM光信号のビット誤り率特性を劣化させる原因を,かなりの程度解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針は以下の通りである。 (1)ナイキストWDM信号の波長分離特性は,オフセット周波数の影響を受けることが明らかになった。今後はオフセット周波数を推定・補償するアルゴリズムを整備する。 (2)次に,キャリア位相揺らぎ,周波数オフセットが存在する環境下で,ナイキストフィルタリングを行うアルゴリズムを開発し,受信器に実装する。具体的には,(1)で推定した周波数オフセットを用いて,周波数領域でのナイキストフィルタの中心周波数をシフトさせる手法を検討する。 (3)ナイキストWDM信号の伝送特性は,光ファイバの非線形性により劣化する。非線形効果の影響を,シミュレーションおよび伝送実験により評価する。さらに非線形効果を補償する効率的なアルゴリズムを検討する。
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