2010 Fiscal Year Annual Research Report
LSI物理解析攻撃に対する次世代の安全性評価基準策定のための理論体系構築と実証
Project/Area Number |
22246053
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
今井 秀樹 中央大学, 理工学部, 教授 (70017987)
|
Keywords | 暗号・認証等 / 情報セキュリティ |
Research Abstract |
本研究は,暗号モジュールに対する非破壊的な物理解析攻撃の本質の理路的解明を行い,可能な攻撃手法とその抜本的な対策手法の提示を目指すものである.本年度は主に,1. 消費電力攻撃に対する物理解析攻撃の解析,2. 物理解析攻撃の数学的モデル化,3. 数学的複製不可能性の理論化,及び4. チューリング機械を用いた物理解析攻撃の理論研究を行った: 1. 本研究では,物理解析攻撃として相互情報量解析(MIA)に着目し,種々のパラメトリック法やノンパラメトリック法における攻撃成功確率の変化を調査した.結果,カーネル密度推定法でバンド幅を9,10としたMIAが最小波形数で鍵推定を行えることがわかった. 2. 物理解析攻撃にはいくつかの数学モデルが提案されているが,重要な攻撃のクラスである差分差攻撃を適切に扱えるものはない.そこで本研究では,差分攻撃や相関攻撃を表現できる適切なモデル化手法を構築し,差分解析攻撃に対する暗号の安全性について考察した. 3. 物理的複製不可能関数(PUF)は物理デバイスの製造時の微小な差異を利用することによりデバイスごとに固有の情報を取り出す技術である.PUFの安全性には物理的複製不可能性と数学的複製不可能性という二つの性質が考えられるが,本研究では数学的複製付可能性を持たないPUFを用いた模造デバイス検出方法を提案した. 4. 本研究では,一般的な情報処理システムをチューリング機械(TM)でモデル化することにより,計算あるいはTMの物理的実装において物理情報の漏えいが不可避的に生じることを明らかにした(本研究は現在投稿準備中である).これまでは,個々の物理解析攻撃に対して,対処療法的な対策を行うことしかできなかったが,本研究により,暗号アルゴリズムの物理解析攻撃に対するセキュリティの一般論を展開することで,抜本的なセキュリティ対策を提案できるようになると期待される.
|
Research Products
(8 results)