2011 Fiscal Year Annual Research Report
外乱磁界源の可視化に基づく高機能・高性能アクティブ磁気シールドの開発とその応用
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22246055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹田 一郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (20117120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
円福 敬二 九州大学, 超伝導システム科学研究センター, 教授 (20150493)
山口 崇 久留米工業高等専門学校, 助教 (90248344)
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Keywords | 磁気シールド / 能動磁気シールド / 心磁界計測 / SQUID磁束計 / フラックスゲート / 高感度広帯域磁界センサ / 磁界分布イメージング / 磁気マーカー |
Research Abstract |
1.大型分離型シールドの改良型(2号機)を設計製作した.本来は初年度末の納入予定であったが,主構造部材であるアモルファス磁性薄帯をこれまでとは異なる仕様としたため海外からのサンプル入手とその評価に時間を要し2年目であるH23年度初頭に完成した.左右の磁気シェルの完全対称性,磁気シェルを主シェルとその内側に取り付ける副シェルに分離し,主シェル内に銅メッシュを組み込んだ構造とした点が改良点である.総重量は約560kgで,部屋型シールドの重量の約1/5と軽量化されている. 2.能動補償用電力増幅器も開発期間が数ヶ月伸びH23年度初頭の納入となったが,主に電源トランス部分を別の筐体としたことで出力電流に電源ライン周波数の基本波および高調波を全く含まない要求性能にそうものを開発できた. 3.能動補償系の安定化を図るためにフラックスゲートとサーチコイルをハイブリッド化し,高分解能で広帯域(fc=30kHz)な新たな仕組みを考案した(特許出願済み). 4.これらの改良の結果H23年9月に初めて分離型磁気シールド内で16ch DROS-SQUID心磁計を用いて22才の健常男性から心磁界分布(MCG)を計測できた.これは部屋型や円筒型の閉じたシールド以外で,1次微分グラディオメータSQUID構成にて初めてとなるマイルストーン的成果である. 5.研究代表者が2002年に発案したフラックスゲートの低雑音化を進めた結果,R波,T波が充分識別可能な測定ができることを示すことができた.(2012日本生体磁気学会にて報告予定,PA057原田他) 6.磁気イメージングについては磁気マーカーの非線形特性を利用して励起磁界の周波数と信号周波数を分離する磁気マーカーの好感度な検出法を開発し、-本方法に基づく磁気バイオイメージングシステムを試作した。また、このシステムを用いてファントムの表面磁界のマッピングを行い、この磁界マップからファントム内部の磁気マーカーの3次元位置推定を行うための解析手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年9月に主要テーマの1つであるMCGの計測に成功したが,これは当初研究プランの開始時期に達成できたことになる.能動磁気シールドのための安定な制御系実現のためにフラックスゲートの新規な広帯域化に成功したこと,電力増幅器の低雑音化にも一定の成果があったことも判断要因である.
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Strategy for Future Research Activity |
分離型磁気シェルに能動補償を実装し能動磁気シールドの基本的な動作はほぼ確立したが,線スペクトル性雑音の低減達成と引換に,元々雑音の存在しない周波数においてノイズフロアの上昇が依然見られる(〓0.3pT/〓Hzノイズフロアを低減すべく能動補償系の制御回路と電流増幅回路の低雑音化をさらに進める.3軸磁界センサの回路設計が2012.3月時点で完了した(励磁電力の低減とセンサヘッド間干渉の除去).また,PCとアナログ系を繋ぐインターフェイスをArduino+Pythonにて試作完了した.これによって雑音磁界の可視化を進める.また,生体磁気イメージングの実験に対して,5月末納入予定の直径60cm,高さ30cmのシキル分離型能動磁気シールドを適用して実用性を確かめる.
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Research Products
(13 results)