2011 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導ナノストリップライン分子検出器による巨大分子質量分析
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22246056
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大久保 雅隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究部門長 (60356623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 信行 横浜国立大学, 大学院・工学研究院知的構造の創生部門, 教授 (70202398)
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Keywords | ナノ電子デバイス / 質量分析 / 超伝導デバイス / 集積回路 / 機器分析 / 極低温 / 生体高分子 / 微細加工 |
Research Abstract |
超伝導ナノストリップライン粒子検出器(SSLD)は、飛行時間型質量分析(TOF-MS)装置用の分子検出器として要求される、ナノ秒時間分解能と分子量に依存しない検出感度を同時に満たすことか期待される理想的な検出器である。ハイスループット質量分析を実現するために、高速応答を維持しつつセンチメートルサイズの有感面積を有するSSLDを開発する。その優れた高速応答特性を損なうことなく測定データを生成するために、検出器と同じ温度ステージで動作する単一磁束量子(SFQ)回路から成る時間-デジタル変換回路(TDC)を開発する。ペプチドから疾患に関係する巨大分子に対して応用し、新しい迅速臨床検査法としての可能性を追究する。 平成23年度は、パラレル配置の構造を有する2平方ミリメートルの超伝導ナノストリップ分子検出器(SSLD)をマウントしたコールドフィンガーをパルスチューブ冷凍器にセットし、検出器の動作に必要な3Kまで冷却できることを確認した。この検出システムを質量分析装置に搭載、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)にて生体分子をイオンして、質量スペクトルの取得に成功し、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対して、質量分解能は620を得た。今後、質量分解能20,000程度を目指す。 上記実験は、常温動作の信号処理系を使ったものであるが、SFQ-TDCについては、SSLDと単一磁束量子(SFQ)超伝導回路を接続し、単一イオンの衝突イベントをSFQパルスに変換し、質量スペクトルを取得することに成功した。今後、TDCの機能を付加する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SSLDとSFQ回路の基本となるジョセフソン伝送路(JTL)を接続し、イオンが衝突したときに生成されるパルス信号をSFQパルスに変換することに成功した。今後の時間デジタル変換回路実現に目処を付けた。
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Strategy for Future Research Activity |
パラレル構造のSSLDについて、安定動作領域を従来の臨界電流の50%以下から90%以下に拡大し、検出効率を向上させる。イオン化等のパラメーターや検出器マウントの最適化を行い、質量分解能20,000程度を目指す。SFQ回路でTDCの機能を実現する。
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Research Products
(18 results)