2011 Fiscal Year Annual Research Report
地盤工学を軸とした異分野連携による自立支援型砂漠化防止技術とその国際的展開
Project/Area Number |
22246064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安福 規之 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20166523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 良介 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70111979)
和田 伸一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60108678)
大嶺 聖 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60248474)
田中 宏幸 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30253470)
丸居 篤 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (80412451)
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Keywords | 砂漠化防止 / 乾燥地緑化 / カンゾウ / 不飽和地盤 / 地盤内環境 / グリチルリチン / 保水・保肥特性 / 現地調査 |
Research Abstract |
本研究は,自立支援型の「付加価値の高い砂漠化対策技術」と「乾燥地に自生する貴重種である薬用植物『甘草(カンゾウ)』の安定供給のための技術」を確立し,それらの技術を併用することによって砂漠地帯への栽培化を促進し,砂漠化防止に貢献することを主たる目的としている。平成23年度の研究実績をまとめると以下の通りである。 1.土地劣化のメカニズム解明のための基礎研究(試験・調査法の体系的構築にむけた取り組み) (1)甘草自生地帯の土壌・地下水特性の明確化に向けた情報収集モンゴル科学アカデミーとの連携の下で,甘草の自生する現地土壌の土質特性,気象特性,地下水特性を把握するための現地調査を実施しモデル地区での地盤内長期モニタリングを開始するとともにその成果を論文や学会発表等で公表した。 (2)土質特性と水分保持・塩分集積特性の関連性把握のための基礎実験 カラム実験装置により,地下水特性,気象条件および粒度や含水状態に着目して,砂漠地を模擬した土壌の水分保持および塩分集積特性を把握するためのカラム実験装置の試作と改良を行った。 2.サクションドレーン材の素材を選定する手法と地盤内水分を制御するシステムの確立 地盤内水分を制御するために,粒度調整した地盤材料で構成されるパック型ドレーン材料の合理的な選定方法を提案した。 3.グリチルリチン高含量カンゾウの選抜および大量育種のための基礎実験カンゾウに含まれるグリチルリチン(GC)含量を免疫化学的手法(ELISAキット,Eastern blotting)を活用して分析し,GCを高濃度に含んだ有用な個体を選抜し,大量育種のための考え方を示し,その基礎データを得た。 4.モンゴル科学アカデミー植物研究所との砂漠地共同研究計画の立案 薬草を活用した付加価値の高い砂漠化防止技術確立に向けた連携研究を立案し,昨年来の課題である成果の検証ためのモンゴルにおけるモデル地区の選定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究実施計画の中で「砂漠・乾燥地の地盤学」の体系化に向けた内容の整理が十分にできなかったことと「モンゴル科学アカデミー植物研究所との砂漠地共同研究計画の立案」の中で、モデル地区における砂漠化防止に向けた適応策の提示までには至らなかったことを除くとおおむね順調に研究が進展し、雑誌論文、学会発表等で成果報告も実施できたことから「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、以下の点に留意して進めていきたいと考えている。 1.この2年間順調に進展がみられることから、当初の研究計画に沿って研究の推進を実施することを基本とする。 2.モンゴルでの調査研究では、モンゴル科学アカデミー植物研究所との連携を進化するとともに、現地(モンゴル南部、Bogdモデル地区)の自治体との連携を深めて、現地実験の進展を図りたい。 3.砂漠化防止技術確立のための基礎的な取り組みは、現地と国内で取り組む課題をまず再整理し、そのうえで、着実に研究の成果が生れるよう人的な対応も含めてロードマップを精査し、取り組みたい。
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