2012 Fiscal Year Annual Research Report
地盤工学を軸とした異分野連携による自立支援型砂漠化防止技術とその国際的展開
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22246064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安福 規之 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20166523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶺 聖 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60248474)
田中 宏幸 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30253470)
丸居 篤 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (80412451)
和田 信一郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60108678)
HEMANTA Hazarika 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00311043)
北村 良介 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70111979)
小林 泰三 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10380578)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 砂漠化防止・適応策 / 国際研究者交流(モンゴル) / カンゾウ / グリチルリチン / 現地調査 / 不飽和地盤 / 地盤環境 / 保水・保肥性 |
Research Abstract |
本研究は,地盤工学を軸とした異分野連携によって,自立支援型の「付加価値の高い砂漠化対策技術」と「乾燥地に自生する貴重種である薬用植物『甘草(カンゾウ)』の安定供給のための技術」を確立し,それらの技術を併用することによって土地劣化が加速する乾燥地帯への栽培化を促進し,砂漠化防止に貢献することを主たる目的としている。平成24年度の研究実績をまとめると以下の通りである。 1.甘草を活かした砂漠化対策技術に向けた実績:1)モンゴル科学アカデミーとの連携の下で,甘草の自生・非自生地区の現地土壌の土質特性,気象特性,地下水特性を把握するための広域的地盤調査と定点での長期観測による現地調査を実施し,その特性を明らかにした。また,2)現地の状況を分析した上で、地下水特性,気象条件および粒度や含水状態に着目し,土地劣化が懸念される乾燥地を模擬した土壌の蒸発散・水分保持および塩分集積特性に関する室内実験を実施し,水分保持特性と蒸発特性を適切に評価できる手法を検討した。加えて,3)付加価値の高い甘草を活した砂漠化防止技術確立に向けた現地自治体との連携研究を立案し,塩類集積を含む土地劣化の課題を整理し、地域振興を踏まえた地域住民が自立して行える持続性の高い砂漠化防止のための適応策を提示し、その検証実験を開始した。 2.『甘草(カンゾウ)』の安定供給のための技術の確立に向けた実績:組織培養によるカンゾウの高品質化技術に関する薬学的な実験を実施し、個体の素質がその後のカンゾウの生育に与える影響を考察した。また、グリチルリチンを高濃度に含んだ有用な個体を選抜し、大量育種するための薬学的方法論を提示し,その基礎データを蓄積した。 3.「暮らしに役立つ乾燥地の地盤学」の体系化に向けた内容の整理と執筆:1つの成果として,標記体系化に必要な項目・内容を整理し、出版物としての執筆に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画の中で1)「砂漠・乾燥地の地盤学」の体系化に向けた内容の整理と執筆については,予定より遅れていること,2)甘草の自生・非自生地区の現地土壌の土質特性,気象特性,地下水特性を把握については,想定していた以上に進展したこと,3)技術的な検証は今後の課題として残るが,地域住民が自立的に行える甘草を活かした砂漠化対策のための適応策を地盤工学の視点から提示できたこと,4)薬学的な視点から高品質の甘草を大量育種可能な方法を提示でき,検証を始められたこと,さらには5)雑誌論文、学会発表等で成果報告も積極的に行えたことを踏まえ,「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、昨年同様,以下の点に留意して進めていきたいと考えている。 1.この3年間ほぼ順調に進展がみられることから、当初の研究計画に沿って研究の推進を実施することを基本とする。 2.モンゴルでの調査研究では、モンゴル科学アカデミー植物研究所との連携を進化するとともに、現地(モンゴル南部、Bogdモデル地区)の自治体との連携を深めて、現地実験の進展を図りたい。それとともに,砂漠化対策としての地盤工学的な適応策が持続的に活かされるための仕組み作りにも合わせて取り組みたい。 3.砂漠化防止技術確立のための基礎的な取り組みは、現地と国内で取り組む課題をまず再整理し、そのうえで、着実に研究の成果が生れるよう人材育成も含めてロードマップを精査し、今後のさらなる進展につなげたい。 4.学術的には基礎的な要素技術と応用技術に分けて成果を整理し,質の高い論文集に得られた成果を投稿するとともに,成果報告書としてまとめたい。また,内容を吟味した上で一般の市民を対象とした「暮らしを支える乾燥地の地盤学(仮題)」を執筆し,社会貢献の一助としたい。
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Research Products
(20 results)