2012 Fiscal Year Annual Research Report
市民生活行動学の構築による部門横断型まちづくりのための政策意思決定方法論の開発
Project/Area Number |
22246068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
張 峻屹 広島大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (20284169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (00346529)
小林 敏生 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (20251069)
平田 道憲 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30111660)
藤原 章正 広島大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (50181409)
塚井 誠人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304409)
桑野 将司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70432680)
大森 宣暁 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323442)
谷口 綾子 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 講師 (80422195)
久保田 徹 広島大学, 大学院国際協力研究科, 准教授 (80549741)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 市民生活行動学 / 部門横断型政策 / 生活の質(QOL) / モビリティ / 健康 / 社会弱者 / 観光 / 災害 |
Research Abstract |
本研究の目的は「市民生活行動学」の構築に基づく部門横断型まちづくり方法論の開発である。本年度は政策意思決定方法論の開発期間として位置づけているが、次年度の政策研究の一部も行った(研究成果:査読付き論文56編、英文著書1冊、他の論文67編、基調講演・招待講演3回など)。 1)市民生活行動調査のパッケージ化・標準化:ライフドメイン間の相互予測性を明らかにし、市民生活全容の把握方法として被予測力の低いドメインを中心とする市民生活行動調査のパッケージング方法を提案した。広島市において実施されている各種の断片的な生活行動調査の実態を調べて、それを踏まえた標準化のための課題抽出を行った。 2)統合型市民生活行動モデルシステムの開発:多岐にわたる市民生活行動を一体的に捉えることのできる統合型モデルシステムを開発した。このモデルシステムは生活行動の時間的、空間的、文脈依存的な相互関係を明示的に取り入れた。 3)市民生活影響評価システムの開発:エネルギー消費におけるリバウンド効果(外部不経済性)、ギャップモデルに基づく都市サービスの提供による市民生活の質への影響、世代間負担を考慮した環境管理コストの配分方法、子育てにおける世代間ギャップ、移動権、途上国におけるQOL(インドネシアとバングラデシュ)などについて研究を行った。 4)政策研究:雇用と子育てと外出支援、高齢者モビリティと生活支援策、健康と観光を融合したまちづくり政策、家庭部門と運輸部門のエネルギー対策、気候災害における適応策などを対象とする部門横断型研究を行った。 5)ガバナンス:グッドガバナンスを支援する自主申告型調査の精緻化を図った。また、観光と健康を融合したまちづくりにおける地域内外関係者の協働のあり方を検討した。さらに利用者とサービス供給者による価値共創型交通安全ガバナンスツールとして実用性の高い高速道路安全診断アプリを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究だけではなく、次年度の研究の一部も実施した。研究成果として、査読付き論文56編、英文著書1冊、他の論文67編、基調講演・招待講演3回などを公表した。特に、土木学会論文集、土木計画学研究論文集、都市計画論文集、Transportation、 Transportmetrica、Transportation Research Record、Asian Transport Studiesなどといった交通、都市計画に関する雑誌だけではなく、Energy Policy, Environmental Economics and Policy Studies, Transition Studies Review, Ecological Economcis, Tourism Management, Annals of Tourism Researchといった他の分野の雑誌や学際的研究雑誌にも多くの質の高い論文を公表できた。 本年度は部門横断型政策意思決定方法論の開発期間として位置づけていることを考えると、当初の計画以上の成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度を部門横断型まちづくり政策を提言する期間として位置づけ、以下のことを行う。 1) 低炭素型まちづくりに向けての市民行動変容政策を提言する。2) 子育て・介護を担う女性、移動困難者である高齢者・身障者などの交通弱者を対象に、そのモビリティを維持・増進するための支援策を提言する。3) 都市形態、居住形態、移動手段や生活様式が健康に与える影響を明らかにし、公共交通を中心としたアクセス交通体系の整備・改善、自転車や徒歩で外出したくなる都心移動環境の整備といった環境共生・健康指向型都心活性化政策を提言する。4) 都市観光の推進に際して、観光活動がエネルギー消費や環境負荷の増大といった影響に配慮し、地元住民の余暇活動の遂行にも役立つ都市観光促進策を提言する。5) 市民生活の実態を定期的にモニタリングするツールとしての市民生活行動調査の公共的受容性、導入のための制度的バリアとその克服方法などを明らかにする。6) 市民と行政のまちづくり能力形成を重視したグッド都市ガバナンスのあり方を提言する。7) 研究成果をとりまとめ、公開シンポジウムを開催する。8) 多部門・多主体が関わるまちづくりに際し、市民生活行動の調査・解析手法、影響評価方法、部門横断型まちづくり政策の立案方法などをカバーする「市民生活行動学とまちづくり政策」と題する出版物の刊行を準備する。 上記の内容は研究計画書に書かれたものであり、計画通り実施する予定である。 これ以外に、途上国における市民生活行動とQOLの研究も実施し、新たな部門横断型政策として途上国における気候災害における適応策についても研究する予定である。
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Research Products
(130 results)