2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下の大規模ヒートアイランドの総合的環境影響評価と適応対策の研究
Project/Area Number |
22246074
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉門 洋 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80358324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 龍三 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251470)
川本 陽一 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70569730)
嶋田 知英 埼玉県環境科学国際センター, 温暖化対策担当, 主任研究員 (40415401)
米倉 哲志 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 主任 (40425658)
住 明正 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 教授 (10179294)
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Keywords | ヒートアイランド / 地域環境システム / 都市大気環境 / 気候変動 / ミクロ・マクロ融合モデル |
Research Abstract |
東京のような大都市圏の大規模ヒートアイランド(HI)の解明と対策評価を目的として2年度目の計画を3分野で遂行した。 1.関東平野規模の空間スケールにおける既存データからHIの気象・気候学的メカニズムを解明するため、初年度に収集・整理した既存文献やデータの解析を進めた。夏季日中のHIが顕著な東京都と埼玉県に重点を置き、主要な気象パターンである海陸風系その他の日々の形態と猛暑の出現の有無や出現状況との関係を調べるとともに、それらの経年的な変化を気候変動や都市形態の変化との関連性を意識しながら分析している。これまでに、海風の出現風向は気圧配置の影響を受け、その気圧配置には年ごとに特徴があるため、猛暑が出現しやすい夏が何年かごとに到来することがわかった。 2.都市内と都市圏外の熱的条件に関わるミクロ・マクロの構造を把握して評価モデルに活かすため、初年度に調達した機材による都心域の熱フラックス観測のほか、都内と郊外域における上層風観測、上層気温観測を行い、これまでに都市-郊外間の熱輸送量の見積り等を行った。また、大都市域外縁の広域熱環境の継続的な把握のため、埼玉県既設の広域地上気温測定網を引き続き維持し、細密なデータを蓄積した。 3.HIの大規模化のメカニズム解明と適応対策の検討・評価を行ための大規模都市熱環境モデルとして、世界の先端標準となっているWRFモデルを取り入れ、都市のミクロ構造を可能な限り組み入れつつ大規模HIの構造をシミュレーション可能なシステムの再構築を行い、試験を重ねて良好な稼働を確認した。その一方で、モデル設定条件の検討のための議論を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題の初年度(H22)の主要観測機材調達の遅れにより、同年度の夏季野外観測の計画を本格的に実施できなかったことが影響し、当初は初年度~第2年度(H22~H23)に重点を置いて実施する計画であった観測が第2年度~第3年度(H23~H24)を中心とする状況に移行した。そのため、シミュレーションモデルの検証用にこれらの観測結果を活用する取り組みにも若干の遅れが出て、第2年度分の取り組みとしては当初計画よりも若干の遅れが出た。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記した夏季野外観測によるデータ取得の遅れに対処するため、次年度(H24)の観測準備を早期に行い、観測対象とする気象条件の出現を逃がさず早期に実施する。モデル検証は取得済みのデータの範囲で可能な限り進めておき、次年度の取得データも直ちに活用できる体制を整えておくこととした。
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Research Products
(13 results)