2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ積層薄膜法によるPbを含む高温超伝導相Bi-2223薄膜の作製
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22246079
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北口 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導線材ユニット, ユニット長 (60354304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 俊哉 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30315395)
松本 明善 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導線材ユニット, 主任研究員 (50354303)
波多 聰 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (60264107)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / Bi,Pb-2223 / 薄膜 / スパッタ |
Research Abstract |
ビスマス系超伝導体(Bi2223相)のポテンシャルを明示するために、Pbを含有した単一相の薄膜作製に挑んでいる。成膜では、再現性に問題があったが、ターゲット組成の調整とキャリアドーピングのための後焼鈍により再現性が向上した。高い面内配向性を有した薄膜において温度、磁場、磁場方位を変化させて超伝導特性の評価を行ったところ、膜面に平行に磁場を印加した場合、78Kで2Tで10,000A/cm2を超えるJc値が得られるが、10Tで2桁の減少が見られた。Jcの磁場印加方位依存性(87K,0.5T)を測定した結果、厳密に結晶ab面に平行な磁場中では高い値を示すが、1°ずれると急激にが低下し、2-3°ずれるとほとんどゼロになることが分かった。スパッタ膜及び熱処理を施した膜の微細組織観察では、双方でSTO(100)基板面とBi2223相の(001)面が平行なエピタキシャル成長膜構造を有していた。熱処理により、膜中のBi2223相割合は50%程度から80%程度まで増加した。Bi2223相増加に伴いドメイン構造や(001)面積層構造の不連続な箇所が減少したことから、熱処理はスパッタ膜をBi2223単相単結晶に近づける効果があることがわかった。熱処理膜中のBi2223相からはPbの存在をX線分光分析から確認できたことから、熱処理に伴うBi2223相の増加はPbのBiサイトへの固溶によるBi2223相の安定化が一因と考えられる。熱処理膜に含まれる20%程度の低Tc相は、Bi2201相やBi2234相が多いのが特徴で、Bi2223線材でよく観察されるBi2212相は少なかった。 これらの低Tc相は、Bi2223相の中に0.5ユニットセル厚みの極薄領域で挿入されるものから、Bi2223膜の上部に厚く形成されるものまでさまざまであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
物質・材料研究機構における薄膜作成に関する研究では、東日本大震災の影響により研究設備に多くの不具合が生じ研究の進行に支障を生じた。特に成膜装置の調整に時間を要したため当初想定したところまでの進捗が得られなかった。また、分担者(土井准教授)分担分についても、当該分担者の異動による研究設備の移転、立ち上げ等に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
震災及び異動に起因する不具合等は回復に至っており各参画者の研究体制は整った、ここまでの若干の遅れを取り戻すべく精力的に実験を実施する。
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Research Products
(3 results)