2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ積層薄膜法によるPbを含む高温超伝導相Bi-2223薄膜の作製
Project/Area Number |
22246079
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北口 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, ユニット長 (60354304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 俊哉 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30315395)
松本 明善 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50354303)
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60264107)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / Bi,Pb-2223 / 薄膜 / 臨界電流密度 / スパッタ |
Research Abstract |
高臨界電流密度(Jc)Bi,Pb-2223薄膜の作製に成功した。Pbを含まないBi-2223相薄膜をチタン酸ストロンチウム基板にスパッタ法で成膜し、Pb蒸気圧の高い雰囲気中で熱処理することにより、Bi,Pb-2223相薄膜を得ることが出来た。その薄膜に対して450℃酸素気流中で後熱処理を行い、酸素キャリアをオーバードープ状態にすることで、世界最高値(0.9 MA/cm2、77 K、自己磁場中)を確認した。一方でJc特性は大きな磁場方位依存性を示し、磁場方位がBi-,Pb-2223相結晶のc軸に対して垂直の場合には高特性であるが、c軸に平行な磁場の場合にはほぼゼロであった。 Pb雰囲気熱処理前のPbを含まない薄膜は、主相が2223であるものの、2212、2234などの低Tc相を積層欠陥の形態で3割程度含むとともに微細なドメイン構造が観察された。Pb雰囲気熱処理の主な効果は、雰囲気からのPbの供給による2223相量の増大とドメイン成長の促進であった。2223形成を伴う包晶反応温度以下では、固相拡散反応が上記の膜構造変化をつかさどる主要なプロセスであり、構成元素の拡散に時間を要することから、単結晶化、すなわちドメイン構造の完全な消失は困難であった。一方、包晶温度以上では、液相からの2223生成反応が主要なプロセスとなり、Pbの導入で高品質の2223単結晶膜が横方向成長した。しかし、熱処理が更に高温・長時間化すると、2201など種々の不純物が塊状に生成し、2223単結晶膜の連続性を損なった。これは、液相の組成が2223の平衡組成からずれることが要因と考えられた。 以上の結果より、Bi,Pb-2223相の相平衡と結晶成長キネティクスの両方を考慮してPb雰囲気熱処理条件(温度、時間など)を最適化すれば、更に高品質なBi,Pb-2223相薄膜の作製が実現可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(19 results)