2011 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液錯体化学に立脚したナノフォトセラミックスの合成:高度機能開拓と新物質探索
Project/Area Number |
22246081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 恒之 東海大学, 理学部, 講師 (00419235)
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Keywords | 水 / グリーンプロセス / ナノ光結晶 / 水溶液金属錯体 / フォトセラミックス |
Research Abstract |
平成23年度には、(1)アミノ酸を配位子とする新規水溶性チタン錯体の開発、(2)水溶性ビスマス化合物の開発、(3)水溶性ケイ素化合物(WSS)を用いた並列合成法による新規ケイ素含有白色LED用蛍光体の探索と高度機能化、(4)水溶性ケイ素化合物(WSS)の集積化学に基づく新しい構造体の創成、の4種類のテーマを設定し研究を遂行した。この中で特に優れた成果の得られた(3)について、研究実績の概要を以下に記す。 白色LEDは省エネルギーかつ長寿命で、次世代照明として急速に普及が広まっている新規光デバイスである。現在の白色LEDへの要求としてさらなる発光効率の向上と演色性の改善が挙げられ、特にLEDより発せられる青色光を効率よく緑・黄・赤へと変換する蛍光体の開発が求められている。現在までの多くの研究報告において、青色光によって励起するケイ素含有蛍光体材料が多く知られている。本研究課題では研究代表者らが開発した水溶性ケイ素化合物(WSS)をケイ素原料として、組成の均一性に優れる錯体重合法や環境負荷の低い合成法であるアモルファス金属錯体法、また、それらなどの複数の手法を組み合わることにより、新規白色LED用蛍光体の探索を行った。 LEDによる青色光によって効率よく励起するEu^<2+>を発光中心として用いるため、その置換サイトとして最適なアルカリ土類金属を母体元素として設定し、多種多様な組成のシリケート系、チオシリケート系、シリコンオキシナイトライド系化合物の探索を行った。その結果、2種類のアルカリ土類を含む(Ca_<1-X>Sr_X)_<2n>Si_<n+1>S_<4n+2>:EU^<2+>で表される新規材料群を発見し、これらが青色励起によって発光を示し、高い演色性を持つことを発見した。結晶構造学的見地からこれらの蛍光体の優れた発光特性に対する詳細な解釈を行い、それらを元に材料設計と合成へとフィードバックさせることでさらなる特性向上へとつなげ、企業の協力を経て市販白色LEDへの実装と大規模展開を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、当研究の目的である新規フォトセラミックスの開発を達成しており、かつ、新材料開発に向けた萌芽的研究も進行していることから、新物質探索という点において順調に進展しているといえる。合わせて、並列合成法による材料探索も予定通り順調に進んでおり、総合的に見てもおおよそ予定通りに計画が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
並列合成による新物質探索については、母元素をシリコン以外にも設定し、新たなライブラリーを構築することを検討している。加えて酸化物のみならず、(酸)窒化物、(酸)硫化物といった材料群も新規物質探索候補として選定し、幅広い組み合わせにおける新規フォトセラミックスの探索を実施する。また一方で、化学理論に基づいた材料設計による新規フォトセラミックスの開発を狙う。
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Research Products
(32 results)