2012 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液錯体化学に立脚したナノフォトセラミックスの合成:高度機能開拓と新物質探索
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22246081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 恒之 東海大学, 理学部, 講師 (00419235)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | 水 / グリーンプロセス / ナノ光結晶 / 水溶性金属錯体 / フォトセラミックス |
Research Abstract |
平成24年度は年度初めに設定した課題のうち、フォトセラミックスの開発および高輝度化において優れた成果が得られたことから、以下にその詳細を記述する。 前年度までに、アルカリ土類金属を2種類以上含有させることにより、新規のアルカリ土類チオシリケートが生成することを見出しており、この手法をアルミネート系に応用した。その結果、一種のアルカリ土類金属のみを含有するときには生成しないアルカリ土類金属とアルミニウムが2対1で含まれる(Ba, Sr)4Al2S7が存在することを明らかにするに至った。本化合物は、2価のユーロピウムを賦活することで既往のチオアルミネート系蛍光体では報告の無い、橙色の発光を示した。これは、アルカリ土類金属が2種類存在することで、ユーロピウムの占有サイトが大きく歪み、その結果、Eu2+の結晶場分裂が大きくなることに由来するものと考えている。また、Eu2+を賦活した本化合物は既知の硫化物系蛍光体を比較し熱消光特性に優れていることも明らかにしている。加えて本課題においては、Ba4Al2S7の構造解析にも成功しており、その構造が既報のものと異なることを確認している。 また酸化物系蛍光体の新規探索では、並列合成法を利用することにより、リン含有蛍光体において、Eu2+の賦活により発光する新しい母体を見出すにことに成功している。 一方で、フォトセラミックスの高機能化を目指し、ソルボサーマル法を利用したBa-Ta系複合酸化物およびAg3PO4の微粒子化や形態制御を実施した。いずれにおいても手法や条件を適切に選択することにより目的を達成でき、それぞれの水分解光触媒特性を改善することができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、水溶液化学に立脚したフォトセラミックスの高度機能開拓と新物質探索を目的としている。新規物質探索については、アルカリ土類金属を2種類含有させることにより1種類の含有では生成しない結晶が得られることを見出しており、その理論を適用することにより、本年度もさらに新たな材料群の開発に成功している。また、高機能化についても、溶液法を巧みに組み合わせることにより達成できており、研究目的達成に向けて研究は「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度まで研究計画は順調に進展していることから、基本的に平成25年度も平成24年度と同様に研究を進める。加えて新規物質探索については、(酸)窒化物/硫化物系フォトセラミックスに留まらず、フッ化物系セラミックスにも着手する。
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Research Products
(28 results)