2011 Fiscal Year Annual Research Report
雰囲気応力環境下原子直視法の開発とセラミックスへの応用
Project/Area Number |
22246088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70192474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 剛久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20220478)
溝口 照康 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70422334)
柴田 直哉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (10376501)
佐藤 幸生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80581991)
着本 享 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 講師 (50346087)
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Keywords | 強度 / 靭性 / 破壊 / 疲労 / クリープ / その場観察 / TEM / ドメイン |
Research Abstract |
本研究ではセラミック材料における各種物性の発現機構についてより本質的な理解を得るためにより実使用環境に近い状況下での実験をその場透過型電子顕微鏡法にて行っている.これまでに構築してきた応力印加その場観察システムおよび電圧印加その場観察システムを用いて,材料に機械的な応力ならびに電界といった外的な刺激を加えた際の材料中の微視的な構造の応答を高い空間分解能で直接観察する. これまでにAl_2O_3やSrTiO_3などといった代表的なセラミック材料において転位および双晶の形成ならびに進展のその場観察に成功している.転位および双晶は材料が塑性変形する際に主要な役割を担っており,その動的な挙動を明らかにすることはこれまで変形前後の結果から推測で議論されてきた変形の素過程を解明する大きな一歩となる. また,材料に電界を印加しながらその場観察を行うことにより,圧電単結晶として知られるPMN-PT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)中のドメインが応答する様子を可視化することにも成功した.(Phys. Rev. Lett., 2011)あらかじめ分極処理を施した結晶では,ある一定以上の電界をかけたときにナノドメインとマイクロドメインが協調的に応答し,なおかつその応答が電界の印加および開放に関してほぼ可逆的であることが分かった.ドメイン応答の直接観察はこの材料が示す巨大な圧電特性のメカニズムを理解する一助となり,医療用の圧電プローブなどに用いられる本材料の特性向上等につながれば医療分野への大きな貢献となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で第一の目的としていたその場観察システムの構築はほぼ終了した.セラミック材料中に応力を加えながらのその場観察実験も成果が出始め,Al_2O_3やSrTiO_3などの材料で転位の進展挙動や双晶変形挙動などの知見が得られてきている.また,電圧印加のその場観察で圧電体中のナノドメイン応答を可視化することにも成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も同様の手法を適用した実験を継続して行う.これまでに実験を行ったAl_2O_3やSrTiO_3などでは,応力を加えることによる転位の進展ならびに転位と他の格子欠陥(粒界・界面転位など)との相互作用などについても検討を行う.また,圧電体中ドメインのその場観察では,電界の強度・印加方向などを系統的に変えた実験をさらに行う.一連の実験からドメイン応答ならびに圧電特性への影響を理解することを目的とする.得られた研究成果は論文発表等を含めて積極的に公表を行う.
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[Presentation] 原子の話2011
Author(s)
幾原雄一
Organizer
市民公開講座、日本顕微鏡学会
Place of Presentation
福岡(招待講演)
Year and Date
2011-05-15
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