2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧電顕-分光結像法によるニアバルク結晶中の欠陥構造解析と破壊力学物性研究
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22246090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東田 賢二 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70156561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 將己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452809)
森川 龍哉 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00274506)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 転位 / 亀裂 / トモグラフィ |
Research Abstract |
結晶性固体材料の破壊物性研究を革新する鍵は,亀裂とその先端近傍のメゾスケール空間に広がった応力集中影響領域での結晶格子欠陥(特に転位)集団構造を高精度に可視化し,それをモデル化することにある.当研究では高い電子線透過能と分解能を兼備した分光結像-超高圧透過電子顕微鏡法にトモグラフィーを融合し,従来域を超えた厚さ5ミクロン以上のnear-bulk試片中の三次元TEM結晶構造解析に挑む.更に,離散的転位動力学シミュレーションとそれに必要な力学パラメータ取得のための材料試験に取り組み,巨視的破壊靭性値の物理的意味を,亀裂-転位間相互作用という微視的観点から理解するマイクロ・フラクチャーメカニクスの確率・発展を図る. 本年度は昨年度に引き続きJEOL-1300NEFおよび高傾斜回転ホルダーを用いた超高圧電子線トモグラフィーを行った.エネルギーフィルターを通した後に最もエネルギーロス強度が高くなる電子でイメージングを行う事により厚さ10ミクロン中の転位構造を明らかにすることが可能となった. さらに,BDT挙動を律速する転位の移動速度を定量的に測定するため,本年度は高窒素鋼中におけるBDT温度の変形速度依存性を求めた.試料は窒素を1.1mass%含む試料を用い,クロスヘッドスピードを200m/minから2m/min,温度を液体窒素温度から室温まで変化させて吸収エネルギーの温度依存性からBDT温度を求めた.次にBDT温度と変形速度のアレニウスプロットから活性化エネルギーを実測したところ,その値は1.6eVであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった厚さ5ミクロンの二倍にあたる厚さ10ミクロン中の転位を明らかにする事が出来たため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に引き続きJEOL-1300NEFおよび高傾斜回転ホルダーを用いた超高圧電子線トモグラフィーを行う.昨年度は,エネルギーフィルターを通した電子線のうち最も高い強度を持つ電子によって結像することによって,10ミクロンを超える試料膜厚の観察が可能となった.そこで本年度は,本手法と電子線トモグラフ法を融合し,厚膜中の転位三次元構造解析を試みる.そして更に,実際に得られた転位の3次元構造から,亀裂先端近傍の局部応力状態を計算する. さらに,BDT挙動を律速する転位の移動速度を定量的に測定するため,本年度は1.1mass%窒素を含む高窒素鋼オーステナイト中にCuを添加した試料のBDT温度の変形速度依存性を求める.クロスヘッドスピードを200m/minから2m/min,温度を液体窒素温度から室温まで変化させてBDT温度を求める.更に引張試験により活性化体積の温度依存性を測定し,Cu添加による転位運動素過程の変化を明らかにする.
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