2011 Fiscal Year Annual Research Report
汎用マグネシウム合金の高機能発現を目指したナノ・ミクロ組織制御プロセス技術の構築
Project/Area Number |
22246094
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 幸雄 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (00303181)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50452082)
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Keywords | 汎用型マグネシウム合金 / 塑性加工 / 熱処理 / ミクロ組織 / ナノ析出物 / 動的再結晶 / 機械的性質 / 集合組織 |
Research Abstract |
本年度は高性能なMg合金展伸部材創製のための各指針の高精度化、およびデータベース化を進めた。その際、Mg合金をユニバーサルな超軽量構造材料へと発展させるため、研究協力企業から提案される応用部品毎の異なる要求特性を満足する高性能Mg合金部材創製のためのプロセス条件の最適化もコンカレントに進めた。 Mg-Al-Ca-Mn系高合金材料では、加工温度までの加熱中および熱間加工中に底面に平行な板状の規則GPゾーンが析出し、それらが双晶変形を抑制するため、既存Mg合金中で生じる二重双晶を伴った動的再結晶が生じにくく、キンク変形のみが生じ、押出し方向に伸張した未再結晶領域は強い集合組織を形成する。一方、規則GPゾーンが析出していない領域では二重双晶を伴った動的再結晶が生じ、1.5μm程度の微細かつ比較的ランダム配向した再結晶粒が得られる。加工温度が高くなるにつれて規則GPゾーンの厚みは増し、数密度が減少するため、475℃で押出し加工した試料の再結晶率は90%程度にまで高くなり、かつ、再結晶粒径は2.5μm程度の微細度を維持する。そのような組織の均質化により耐力320MPa、伸び12%と強度-延性バランスに優れる材料と成り得る。さらに疲労強度は室温では240MPa、150℃でも160MPaと、既存Al合金およびMg合金の1.5倍以上の値を示す。 一方ではMg-Al-Ca-Mn系希薄合金の押出し加工中の応力集中部となる粒界化合物を均質化処理に完全に消失されることにより、押出し中の加工発熱による溶融を抑制でき、ラボレベルではあるが通常の押出し法にてAl合金サッシ並みの高速押出しに成功した。さらに、その後の時効処理のみで規則GPゾーンが形成され、新幹線構体に使用されている6N01Al合金並みの引張特性も得られることも見出した。これらの希薄合金は圧延性も良好で、かつ押出し材よりさらに高強度、かつ高延性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Mg-Al-Ca-Mn系合金の押出し加工材の組織は、押出し方向に伸張し、強い集合組織を有する未再結晶領域と、微細かつ比較的ランダム配向した再結晶領域から構成されるバイモーダルな組織を呈する。その高温加工中の組織形成メカニズムが規則GPゾーンの数密度に依存することを解明するとともに、その結果をもとに、均質、かつ微細な組織を得るための加工温度を提案し、その結果、強度-延性バランスに優れる特性が発現し、実用部材として十分な特性を有することを明らかにしている。 一方、希薄Mg合金にて汎用押出し法を用いてAl合金サッシ並みの高速押出しが可能で、かつその後の時効のみで高強度化が可能であることを明らかにしている。本合金は産業界で熱望されていた易加工性中強度Mg合金に対応し、日本発の押出し用汎用Mg合金の誕生である。本合金は輸送機器の骨格構造やダブルスキン構体等に使用可能で、まさしくMg合金の汎用材料としての地位固めの救世主に成るものと期待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本系合金では、鋳造状態における溶質元素のマトリックスへの固溶状態や粒界化合物の大きさ・分布によって加工後の析出状態、再結晶粒径が大きく変化することも明らかになってきた。そのため、最終的な加工材の評価については、企業にて連続鋳造した素材を用いて熱間加工し、得られた部材のマルチスケール組織解析および材料特性評価を行い、データベース化を進めることにする。 さらに、合金元素の組織形成メカニズムや材料特性への役割を明確化するとともに、その成果に基づいて、必要な材料特性を得るための合金元素量の最適化および第四元素添加の抽出を行う。特に希薄合金の場合、0.05mol%の合金元素の変動でも加工性や材料特性に大きく影響する可能性もあるので、高速加工が可能で、かつ時効により耐力300MPa以上が得られる合金組成の境界値を決定する。 また、疲労強度の温度依存性を評価し、疲労試験時の亀裂発生および伝播に及ぼす構成相の役割を明確にするとともに、その成果をもとに疲労強度の顕著な改善効果の発現メカニズムをマルチスケール組織解析により解明する。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Effect of Mn addition on microstructure, texture and mechanical properties of Mg-Zn-Ca alloy2011
Author(s)
L.B.Tong, M.Y.Zheng, S.W.Xu, S.Kamado, Y.Z.Du, X.S.Hu, K.Wu, W.M.Gan, H.G.Brokmeier, G.J.Wang, X.Y.Lv
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Journal Title
Materials Science and Engineering : A
Volume: Vol.528
Pages: 3741-3747
DOI
Peer Reviewed
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