2012 Fiscal Year Annual Research Report
埋込み型膵島・肝組織の設計・生体外構築育成のための方法論の確立と実証
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22246101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00235128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大知 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447421)
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80292754)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移植 / 再生医療 / 組織工学 / 細胞 / 生物・生体プロセス |
Research Abstract |
本研究は,肝・膵島といった代謝組織を対象とし,生体と同オーダーの単位体積当り機能と抗血栓性とを保持する埋込み型組織相当物について,その設計と構築育成を可能とする工学的方法論の確立とその実証を目標とする. 今年度は,0.27 cm3のマイクロチャンバーをユニットとして,合計43個のユニットには完全に培養液が均一に導入されるような分岐合流枝分かれ構造を持つ正味内容液11 cm3を持つ担体の設計を終了し,まずはナイロンを用いた三次元造形による制作を行った.また,まずは少数の凝集体を不織布片と共に培養液への浮遊状態で導入することで,各チャンバーに固定化した.さらに1週間の灌流培養を行い,開始直後に機能の低下がみられるものの,その後は安定的に高機能を発揮することを確認した.今後は,すべてのマイクロチャンバーをフルに充填した場合の性能評価が課題である. 灌流培養に適した人工赤血球の開発については,ヘモグロビンを高濃度アルブミンの存在下にてシラスポーラスグラス膜から押し出し,グルタルアルデヒドで架橋することで,直径が3マイクロメータの均一な微粒子を作製することに成功した.さらに、ウシ血液から抽出したヘモグロビンから確立した同プロセスにより微粒子を作製し、新鮮なヘモグロビンを用いることによって、良好な酸素解離曲線を得た。抽出したヘモグロビンのp50値は20mmHgであり、得られた人工赤血球のp50値は13mmHgとシフトし、この傾向は既存のヘモグロビン架橋型人工酸素運搬体であるHemopureと一致した。今後、灌流培養に適用を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モジュラーアッセンブリーというボトムアップ的手法と流路構造を持つ担体のトップダウン的構築,という2つの手法を融合するまったく新たな内部構造を持つ,肝組織構築用の三次元担体の設計を,まずは11cm3スケールであるが終了し,ナイロンを用いたモデル担体を製作することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロチャンバー内に凝集体を不織布片とともに共に充填するモジュラーアッセンブリー手法では,凝集体間の灌流が完全にはうまくいかないため,改善を検討中である.合わせて,細胞やゲルを利用するモジュールの力学的強度不足という欠点を克服するために,ラッシヒリングにヒントを得た新たな生体吸収性多孔質担体を三次元造形技術にて作成,それをマイクロチャンバー内に充てんすることで,単位体積当たりの組織機能の向上を図る予定である.
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Research Products
(7 results)