2013 Fiscal Year Annual Research Report
埋込み型膵島・肝組織の設計・生体外構築育成のための方法論の確立と実証
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22246101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00235128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大知 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447421)
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80292754)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移植 / 再生医療 / 組織工学 / 細胞 / 生物・生体プロセス / 三次元造形 |
Research Abstract |
1)マイクロコンパートメントとマクロ流路構造を併せ持つ担体の製作と灌流培養(酒井・白樫):前年度に作成した10 cm3スケールの担体について、流路構造のみの造形モデルを作成し、各コンパートメントへの培養液の分散状況を確かめたところ、30%程度の座が見られたため、簡単なシミュレーションを行い、改良を施した。それを用い、幹細胞と血管内皮細胞との共培養凝集体を、生分解性ポリマー片とともに充填固定化、灌流培養を行い、様々な機能を評価した。浮遊培養と機能と維持とを比較したところ、ほぼ同程度の機能がより長期に維持されることを確かめた。 2)新たな組織モジュールの開発と培養実験(酒井):ラッシヒリング様の生体吸収性ポリマー多孔質担体を新たに設計、三次元造形した。外部の大きさをまったく同じとし、縦方向にのみ穴の開いた中空状のもの、それに加えて横方向の穴をあけたものを作成し、まったく穴の開いていないロッド状の担体と、担体あたりの細胞付着・最終到達細胞数をまずは14日間の浮遊培養にて比較した。穴を縦横にあけた担体では、初期付着を3倍程度、最終到達細胞数を1.5-2.0倍に高めることができた。 3)新たな人工赤血球の作製と培養細胞での効果と毒性評価(伊藤) ヘモグロビンとアルブミンから成る粒径分布が非常に揃った人工酸素運搬体の作製に成功した。膜乳化の特徴を生かし、粒径が1~20μmの間でサイズが異なる5種類の運搬体を作製し、運搬体の細胞取込量と毒性の関係を調べた。HepG2では1μm以上のサイズでは、運搬体がどのサイズでも全く取り込まれないのに対して、マクロファージは2μm程度の粒子を最も良く取り込むが、サイズが5μm程度ではほとんど取り込まないことが明らかになり、エンドサイトーシス量と毒性の間にも良い相関が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパートメント内に充填する組織体として従来は細胞凝集体のみを考えていたが、長期培養における細胞死の進行や力学的強度の不足といった問題があるため、新しくラッシヒリング様の微小担体を設計・製作し、ほぼ期待通りの成果を得ている。また人工赤血球の開発も順調であり、灌流培養への適用が展望できるまでになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、今までの要素技術開発を統合し、コンパートメントとそれに平等に培養液や血液を供給するというボトムアップとトップダウンとを融合する新たなコンセプトによる大型組織構築の方法論の有効性を、様々な灌流培養と機能評価・最終到達細胞密度等の指標にて示す。
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