2012 Fiscal Year Annual Research Report
船舶海洋構造物のdurability評価手法の高度化
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22246109
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
角 洋一 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (80107367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 恭己 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (50262407)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 材料・構造力学 / 疲労 / 腐食衰耗 / durability |
Research Abstract |
本研究は、実働波浪荷重に対する疲労強度評価法の高度化とその実験的検証および海水腐食をうけた構造部材の残存強度評価法を開発し、船舶・海洋構造物のdurabilityの適切な管理のための学術的基礎を確立することを目的として、実施されている。 本年度は、波浪荷重下における疲労試験と対応する数値シミュレーションを実施し、シミュレーションモデルの妥当性検証とき裂開閉口解析モデルの高精度化へのフィードバックを行った。現在、コンテナ船の大型化に伴う船体の剛性低下と大波高時のスラミングに誘起されるホイッピング応力重畳下における疲労強度評価が、世界的に注目される研究トピックスであるが、本研究では、規則的な繰り返し荷重に小振幅重畳波が重なる場合の数値シミュレーション手法の開発を行うとともに、疲労き裂伝播試験によりその妥当性を検証した。 船舶海洋構造物の疲労き裂は、溶接部から発生し徐々に成長することが知られており、疲労き裂伝播に及ぼす溶接残留応力の影響を把握することが重要となる。そこで、本年度から溶接シミュレーションソフトウェアSYSWELDを導入し、先ずは隅肉溶接と角回し溶接のシミュレーションを実施した。各種の板厚に対する残留応力分布を算定するとともに過大荷重負荷後の残留応力の再配分影響も算定し、その結果を踏まえた溶接部の疲労き裂伝播シミュレーションにより、疲労強度に対する過大荷重影響を解析した。 船舶海洋構造物への信頼性評価手法の導入として、船舶に生じる腐食の確率モデルに関する検討を行った。具体的には、実船の腐食面の計測結果を基に、腐食面の表面形状のランダム性をKL展開法を用いてモデル化するとともに、それらのランダム性を有する腐食板の強度の不確定性について推定を行った。これらの手法は、リスク評価のための信頼性解析や応答の確率的評価に適用可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、疲労き裂伝播に及ぼすランダム・クラスター荷重の影響、板厚効果を解明するとともに、作用応力への振動成分の重畳、溶接やピーニングによる残留応力影響などの複雑な現象を反映した疲労き裂開閉口解析モデルを構築し、実験による妥当性検証を実施してきた。 ホイッピング応力重畳下における疲労強度評価は、世界的に注目される研究トピックスであるが、本研究では、規則的な繰り返し荷重に小振幅重畳波が重なる場合の数値シミュレーション手法の開発を行うとともに、疲労き裂伝播試験によりその妥当性を検証した。特に興味ある現象として、基準波に対して重畳される小振幅波の振幅が20%程度の場合、重畳波無しの場合に比べて疲労き裂伝播寿命に若干の遅延が生じる場合があることが、実験及び数値シミュレーションで確認された。また、疲労設計の実務的情報としては、小振幅波の振幅が基準波のそれの50%以下であれば、疲労き裂伝播寿命に与える影響が少ないことも解明されつつある。 疲労き裂伝播に及ぼす残留応力の影響についても、本年度から溶接シミュレーションソフトウェアSYSWELDを導入し、先ずは隅肉溶接と角回し溶接のシミュレーションを実施した。各種の板厚に対する残留応力分布を算定するとともに過大荷重負荷後の残留応力の再配分影響も算定し、その結果を踏まえた溶接部の疲労き裂伝播シミュレーションにより、疲労強度に対する過大荷重影響を数理的に初めて解析した。 船舶に生じる腐食の確率モデルに関して、実船の腐食面の計測結果を基に、腐食面の表面形状のランダム性をKL展開法を用いてモデル化するとともに、それらのランダム性を有する腐食板の強度の不確定性の推定手法を提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
疲労き裂成長に関して、ホイッピング振動成分が重畳し場合の数値シミュレーション法の確立と、溶接残留応力や溶接部をピーニング処理した場合の残留応力分布が疲労き裂成長に及ぼす影響を解明すべく研究を進める。 ホイッピング応力重畳下における疲労強度評価は、世界的に注目される研究トピックスであるが、本研究では、規則的な繰り返し荷重に小振幅重畳波が重なる場合の数値シミュレーション手法の開発を行うとともに、疲労き裂伝播試験によりその妥当性の検証をさらに進める必要がある。特に興味ある現象として、基準波に対して重畳される小振幅波の振幅が20%程度の場合、重畳波無しの場合に比べて疲労き裂伝播寿命に若干の遅延が生じる場合があることが、実験及び数値シミュレーションで確認されたが、より広範な作用応力条件下で、この種の現象のメカニズム解明を実施する必要がある。また、疲労設計の実務的情報としては、小振幅波の振幅が基準波のそれのどの程度以下であれば、疲労き裂伝播寿命に与える影響を無視できるかも明らかにする必要がある。 疲労き裂伝播に及ぼす残留応力の影響についても、本年度から溶接シミュレーションソフトウェアSYSWELDを導入し、先ずは隅肉溶接と角回し溶接のシミュレーションを実施したが、ピーニングなどによる残留応力分布の算定法の開発、過大荷重負荷後の残留応力の再配分影響の解明等も実施し、その結果を踏まえた溶接部の疲労き裂伝播シミュレーションにより、疲労強度に対するこれらの影響を明らかにする必要がある。 腐食に関しては、鋼板部材に対する強度および延性低下の評価はできるようになったので、この特性を実船の強度と延性評価に繋げる研究を進める必要がある。
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Research Products
(10 results)