2011 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉複合照射環境下で高い適応性を有するタングステンの研究
Project/Area Number |
22246121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 良夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30193816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 哲靖 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60203890)
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50112298)
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40209333)
大塚 裕介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70294048)
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Keywords | 微結晶粒タングステン / パルス熱負荷 / 混合プラズマ照射 / 熱・粒子同時照射影響 / 陽電子消滅 |
Research Abstract |
照射脆化や再結晶脆化の少ないTiCを1.1%含む微結晶粒タングステン(TFGR-w1.1TiC)について、昨年度に製作を開始した超高温低速・荷重制御熱間圧延装置を用いて、粒界すべり(超塑性変形)を用いた組織制御(GSMM : GB Sliding-based Microstructural Modification)を行い、ITERのダイバータ・タイルに使用可能なサイズ(30mmx30mmx8mm)へのスケールアップに成功した。TFGR-W1.1TiC、及びTaCを含む材料(TFGR-W1.1TaC)に対して、重水素イオン照射、あるいはトカマクプラズマへの曝露(TEXTOR装置による)により、重水素蓄積特性の評価を行なった。その結果、純タングステンに比べて重水素吸蔵量が多いこと、及び内部へ早く拡散すること(粒界拡散と考えられる)が明らかになった。特に300℃以上での高温で吸蔵量が、純タングステンに比べ多い。また、TiC添加材は、TaC添加材よりも吸蔵量が多く、Tiが吸蔵に対して影響していることが示唆された。この結果は、先行研究の高フラックスプラズマ照射実験結果(重水素蓄積量が少ない)と大きく異るため、今後フラックス依存性の検証が必要である。トカマクプラズマにさらして、表面溶融の実験を行なった。TiC添加材では突沸のような細かい穴が凝固後観測された。一方で、TaC添加材では、溶融表面は滑らかであった。TiとTaの融点の差が影響した可能性がある。レーザーによりパルス熱負荷(パルス幅、~0.1ms)を与えた実験では(表面温度は融点以下)、表面近傍ではTiCが失われ、また熱応力により結晶粒が微細化することが分かった。また、内部に空洞が発生しこれに連結した亀裂が発生した。これらの結果は、TFGR-Wのプラズマ対向材料としての使用条件を検討するために重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微結晶粒タングステンのスケールアップ、タングステン表面状態の混合イオン照射効果、及びプラズマとパルス同時照射効果、については、ほぼ当初の目的を達成したが、陽電子消滅実験については、装置のノイズ除去が十分ではなく、さらに放射線シールドを増設する必要がわかり、平成23年度はその対応を行なっている。本実験は平成24年度に行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
陽電子消滅実験装置については、ノイズ除去の見通しがついたため、平成24年度に実施できる見通しである。当初の予定より1年遅れているが、今年度中にある程度の成果を得る予定である。また、他の研究課題については順調に研究が進んでいるため、今までの研究方法を踏襲することで、当初の目的は達成できる見通しである。ただ、重水素の蓄積の研究においては、高いフラックスでの実験が必要が出てきたため、平成24年度は原子力機構が所有する高密度重水素プラズマ照射装置を使用して実験を行なう。
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Research Products
(34 results)