2011 Fiscal Year Annual Research Report
相対論レーザー光自己集束による高速点火加熱の有効性検証
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22246122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 和夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70171741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽原 英明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60397734)
薮内 俊毅 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20397772)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 高エネルギー密度 / 高速点火 / レーザー光自己集束 |
Research Abstract |
高強度レーザーの相対論的自己集束現象を、ミリメートル級の長いスケール長をもつ臨界密度以上のプラズマに対し、安定に起こすことが、本研究課題を高速点火手法に適用できるかどうかの鍵を握っている。そこで、今年度はフランス、エコールポリテクニーク研究所においてこれを実証するための実験を実施するために、前年度整備したPCサーバを用い、詳細な大規模PIC (Particle in Cell)シミュレーションによる実験設計を行った。シミュレーションでは臨界密度を上回るプラズマ中を伝搬するレーザー光が、当初予想していたより、はるかに複雑な挙動特性を示すことが判明した。具体的には、レーザー光はプラズマの密度から一義的に決まる群速度より、更に遅い群速度で伝搬し、その速度がプラズマの状態に依存することがわかった。この現象は1次元及び2次元のシミュレーションどちらでも見られ、新しいプラズマの基礎的な現象として日本物理学会の年会で報告を行い、また英文学術論文として投稿準備を進めている。この現象を実際に検証する新しいプラズマチャンネル計測法として、プラズマチャンネル周りにできる電場・磁場の絶対値を測定する方法を考案し、原理実証を行った。また当該実験では長いスケール長プラズマを生成するために、精密に制御されたフォーム状ターゲットを使用する。生成されたフォーム状ターゲットを精密に検査するため、高性能電子顕微鏡を購入し、随時フォームターゲットの特性検査に使える態勢を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対論自己集束するレーザー光のプラズマ中での挙動の詳細が今年度のPICシミュレーションによるパラメータ,研究で明らかにすることができた。この挙動詳細は世界初の研究成果であり、Physical Review Lettersへの投稿を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のPIC Simulationによる相対論的レーザー光自己集束の挙動解析により、高速点火の積分実験を目指した大規模な基礎実験が可能となる。この成果は、世界的に見ても独自のものであり、フランスと米国の二ヶ所の高性能レーザー装置を使った実験計画が、国際共同研究として準備が進行している。次年度はこの基礎実験に持ち込むことが重要なステップとなる。
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Research Products
(15 results)