2012 Fiscal Year Annual Research Report
相対論レーザー光自己集束による高速点火加熱の有効性検証
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22246122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 和夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70171741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪内 俊毅 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397772)
羽原 英明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60397734)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザー核融合 / 高速点火手法 |
Research Abstract |
相対論レーザー光自己集束効果を使ったプラズマ中の伝播が、平成23年度までの基礎実験から明らかになったため、本研究の最終目標である高速点火積分実験(①500ミクロン径の中空プラスチック球を予め12本のレーザービームで照射・爆縮、②爆縮コアが最大密度に達したタイミングで加熱用レーザーをスーパーペネトレーション効果を使ってコアに高速電子フラックスを集め加熱を試みる複雑な実験)を実施した。爆縮用レーザーは、ビームあたりのレーザーエネルギー200Jでパルス幅1.3ナノ秒。ターゲットには、直径472ミクロンで、膜厚6.5ミクロンのCD(重水素化プラスチック)球を用いた。このプラスチックには、銅を原子比で1.6%混入させたものを用いた。高速加熱ビームには、600Jパルス幅2ピコ秒で集光強度4x1019 Wcm2、波長1ミクロンのレーザーを照射した。レーザー光は、爆縮プラズマのコロナ領域である中心から220ミクロン離れた箇所に集光ポイントを設定した。爆縮が最大に達したタイミングで高速加熱ビームを照射するとコアから銅のKαx線が爆縮だけの場合に較べて二倍向上し、明らかにコアに高速電子が有効に照射されていることを示した。銅のKαx線は、高速電子により選択的に放射される。核融合反応は、重水素化プラスチックを使っていることで、DD反応による中性子が107程度観測された。信号のS/N比が十分に取れなかったため、今後より高密度コアを形成できる実験施設によって更なる検証が必要である。以上の結果より本研究で目的とした超高強度レーザーのスーパーペネトレーションによる、加熱の有効性を検証することができたと結論できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、積分実験での高速加熱の有効性の検証は、最終年度である平成25年度に計画されていた。しかし、平成23年度までの研究達成状況は、予定を上回るペースで進展させることが出来たため、平成24年度に積分実験(3次元の爆縮を伴うもの)に漕ぎ着けることができた。研究概要に述べたように積分実験においては、相対論レーザー光自己集束効果を使った加熱の有効性を検証したことを既に示しており、当初の計画以上に本研究が進展した。 平板実験における相対論レーザー自己集束現象を用いたチャンネリング形成に関しては、(1)H Habara, KA Tanaka, J. Phys. Conf., 244 022035 (2010) (2) G. Sarri, KA Tanaka et al., Phys. Rev. Lett., 105, 175007 (2010) (3)H Habara, K.A. Tanaka et al., Opt. Lett., 35, 1 (2010).(4) H Habara, KA Tanaka et al., PRL, 104, 055001 (2010), (5)H Habara, KA Tanaka et al., Phys. Plasmas 17, 056306 (2010)その他10編の論文を発表するに至った。爆縮を伴う3次元実験において相対論レーザー自己集束現象を用いたチャンネリング形成とコア加熱の有効性検証に関しては、平成24年夏に実施した実験でその成立性を示すデータを得ることが出来た。この成果に関しては、平成25年3月の日米高速点火ワークショップで発表すると共に、現在Phys. Rev. Lett.への論文化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
データの精度確認、再現性の確認、成果の国内外の会議での発表と論文化などを実施する。同時に科学研究費基盤Sに応募し、この成果を更に発展させて積分実験で、高速点火において相対論レーザー光自己集束効果を使った手法が、点火を可能とするような大型実験においてその加熱性能を検証する狙いを定めた。科研Sに関しては、申請が承認されれば、平成25年度の科研Aを返上して、より発展させた研究計画を前倒しで実施する事になる。申請が承認されなければ科研Aの最終年度として上で述べた研究のまとめを実施する事になる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Ultrafast Electron Radiography of Magnetic Fields in High-Intensity Laser-Solid Interactions2013
Author(s)
W.Schumaker, N.Nakanii, C.McGuffey, C.Zulick, V.Chvvkov, F.Dollar, H.Habara, G.Kalintchenko, A.Maksimchuk, K.A.Tanaka, A.G.R.Thomas, V.Yanovsky, and K.Krushelnick
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW LETTERS
Volume: PRL,110,015003
Pages: 015003-1 - 015003-5
DOI
Peer Reviewed
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