2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22246127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90362631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50210729)
近藤 孝文 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (50336765)
成瀬 延康 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30350408)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 計測工学 / フォトカソードRF電子銃 / フェムト秒電子線 / 量子ビーム誘起高速現象 / 分子・原子イメージング |
Research Abstract |
平成23年度は、対物磁気レンズの設計・製作を行い、MeV電子線回折像とイメージ像の結像システムのを構築した。また、電子線の低照射で分析可能となる高い検出効率を持つ検出器の開発を行った。 1.透過電子線回折像とイメージ像の測定システムの開発 高分解能の電子顕微鏡を実現するために、できるだけ励磁を強くして、対物レンズにおける球面収差や色収差の影響を極限に低減する必要がある。これに対して、加工精度の向上やレンズの高度化のほかに、シミュレーションによる磁極形状の最適化を行い、超高圧電顕(3MeV)を対応する最大磁場強度が2.1Tの対物磁気レンズを開発した。磁極には、飽和磁束密度が2.4Tのパーメンジュール材質を採用した。焦点距離は、2MeVの電子ビームを用いた場合は10mmであり、1MeVの電子ビームを用いた場合は7mmとなる。また、試料やビーム絞り等の挿入機構と真空チェンバーを設計・製作した。フォトカソードRF電子銃から発生したフェムト秒のMeV電子線パルスを利用して、昨年度に製作した入射レンズ光学系と連結し、透過電子顕微鏡の結像と測定システムを完成した。 2.高感度検出器の開発と電子顕微鏡像の記録と解析手法の確立 時間分解MeV電子線回折の技術と経験を生かして、TlをドープしたCsIの柱状結晶化素子と浜松フォトニクス社製の光ファイバープレートを用いて、電子線の低照射(パルス当たり10^6-10^7個の電子)で分析可能となる高い検出効率を持つ検出器を構築した。このCsI素子は50μmの空間分解能を有しており、レンズ系を併用して拡大された回折像やイメージ像の高精度測定が実現できる。この測定システムは、阪大産研の時間分解MeV電子線回折装置を用いてテストさせ、エネルギーが2MeVのフェムト秒電子線パルスを用いてシングルショットで明瞭な回折パターンを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)対物磁気レンズの設計・製作については、磁場強度は常伝導磁石の限界に達しており、2MeVの電子ちビームに対応でき、電子顕微鏡にとって最強の対物レンズである。昨年度に製作したフォトカソードRF電子銃と入射レンズ光学系と連結し、透過電子顕微鏡の結像と測定システムを完成した。 2)電子顕微鏡像の記録と解析手法については、既にエネルギーが2MeVのシングルショット電子線パルスで明瞭な回折パターンを得ることができており、今後の電子顕微鏡イメージ像の測定が期待できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は高精度の中間レンズと投影レンズを設計・製作し、世界初の時間分解MeV電子顕微鏡の実証機を完成する。 高分解能の電子顕微鏡を実現させるためには、レンズ収差による空間分解能の影響を低減する必要がある。これに対して、加工精度の向上やレンズの高度化のほかに、シミュレーションによる磁極形状の最適化を行い、中間レンズにおける非点収差と投影レンズにおける歪み収差の低減を目指す。
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Research Products
(23 results)