2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22247004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
経塚 淳子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90273838)
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Keywords | 花序 / メリステム / 成長相の転換 / TAW1 / PAP2 / イネ |
Research Abstract |
植物の器官は茎頂分裂組織(メリステム)のはたらきにより作られる。植物の成長に伴い、メリステムは次々に形成される。これらのメリステムがどのような器官を分化させるか(メリステムの性質)は、植物の成長にしたがって移り変わる。メリステムの性質が変化することはすなわち分化プログラムが切り換わるということであり、植物の形態を決定するもっとも重要な要因である。 本研究では、イネの花序を研究対象として、メリステムの成長相の転換を解析している。 PANICLE PHYTOMER2 (PAP2) はイネ科植物に独特のMADSボックス遺伝子である。pap2変異体とPAP2過剰発現体の解析から、PAP2がメリステムの小穂(イネ科に特有の花をつける枝)アイデンティティーを決定する遺伝子であることを示した。さらに、それだけではなく、、PAP2が、①メリステムの生殖成長相への転換、②メリステムの小穂アイデンティティの獲得、③花器官形成プログラムへの転換、の3つの段階において成長相の進行を促進することを明らかにした。これらの結果から、PAP2がイネ科植物の進化において重要な役割を担ったことが示唆された。 TAWAWA1(TAW1)遺伝子はメリステムの成長相の転換に対してブレーキとして働く。イネ穂が形成される際には、まず枝が作られ、その後、メリステムの性質が枝メリステムから小穂メリステムに転換することにより花がつく。TAW1遺伝子のはたらきが強まると、小穂メリステムの転換が遅れるため枝分かれが増える。その結果、枝に着く花の数も増える。一方、TAW1のはたらきが弱くなると、すべての成長相の転換が早まることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネの穂の形態は、穂分化時に形成されるメリステムの成長相の転換の結果として決定される。これまでの解析から、メリステムの成長相の転換に重要な役割を果たす二つの新規遺伝子を単離した。さらに、いずれも、単一のステップだけではなく複数の異なる相転換において機能することを明らかにした。したがって、これらの遺伝子は個々の段階ではなくメリステムの相転換にとって根本的な機能を果たす可能性がある。今後、これら遺伝子の機能を解析することにより、メリステムの相転換の本質に迫ることができると期待される。これらの理由から、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
メリステムの相転換は、植物の形態を決定する重要な要因である。これまでに、PAP2およびTAW1が、相転換の重要遺伝子であることを見出した。PAP2は、MADSボックス遺伝子と総称される転写因子をコードすることがわかっている。PAP2に関しては、他の遺伝子との関連を解析する。また、PAP2の下流で働く遺伝子を網羅的に特定し、PAP2がどのようにメリステムの相転換を制御するのかを解析する。 一方TAW1の分子的機能はまったく知られていないため、まずはTAW1タンパク質の機能解明を進める。このために、酵母ツーハイブリッド法によりTAW1と結合するタンパク質を単離し、それらの機能を解析することによりTAW1機能の解明を進める。
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Research Products
(5 results)