2011 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸とニューレギュリンによる減数分裂開始機構の解明
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22247008
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安部 眞一 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90109637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 恒 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40359964)
荒木 令江 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (80253722)
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Keywords | 発生・分化 / マウス / 精巣 / 減数分裂開始 / レチノイン酸 / ニューレギュリン |
Research Abstract |
1.未分化精原細胞へのall-trans retinoic acid(ATRA)とNeuregulin(NRG)1の影響 NRG1は分化型A-type精原細胞の増殖や減数分裂開始を促進することが分かった(Zhang et aL,2011)が、未分化精原細胞の増殖や分化を促進するかどうかは不明であった。そこで、NRGIの条件付きノックアウトマウスにtamoxifenを注射したところ、PLZF Positiveな未分化精原細胞の増殖が低下した。また、未分化精原細胞しか存在しない生後3日目の精巣の器官培養にATRAやNRG1を加えたところ、c.kit-Positiveな分化型A-type精原細胞やSYCP3-Positiveな精母細胞が出現した。以上のごとから、ATRAやNRG1は未分化精原紳胞の増殖や分化にも働くことが示唆された。 2.Nrgl tarnsgenic mouseの作成 発生再生科学研究所との共同研究により、Mis promoterによってセルトリ細砲特異的にNrg1を発現させるtransgenicmouseを作製した。 3.ATRAやNRG1によって発現が変化する遺伝子の探索(Microarray) 生後6日目精巣の器官培養にATRAやNRG1を加えて3日間培養したものから抽出したRNAを用いてmicroarryを行い、発現が変化する遺伝子を検出した。 4.ERBB4の細胞内ドメインp80とその結合タンパク質α-enolaseの過剰発現系の構築 ERBB4の細胞内ドメインp80は、α-enolaseと結合して細胞増殖の抑制と寧接に関係し、α-enolaseは細胞増殖を司る転写因子c-mycのプロモーター配列に結合する。しかし、p80、α-enolaseがどのように細胞増殖を抑制するかは不明である。1そこで、p80、(レenolaseの機能を解析するために、p80g)核移行シグナルを付与した変異型、チロシンキナーゼ活性を欠損させた変異型、及びα-enolaseのc-mycプロモーターとの結合に関与する領域を欠損させた変異型を作製し、細胞に過剰発現させる系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NRG1のconditiona1ノックアウトマウスや培養での解析によって、分化型精原細胞から精母細胞への分化(平成22年度)に加えて、未分化型精原細胞から精母細胞への分化にもATRAやNRGが関与していることが明らかになった。ATRAやNRG1によって発現が変化する遺伝子を探索するためのMicroarrayやNeuregulin (Nrg)1 transgenic mouseの作成も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
未分化型精原細胞から精母細胞への分化にもATRAやNRGが関与していることが明らかになったことから、今後はRAの下流にNRGが働いていることを示すために、ERBB receptorの機能を明らかにすることが重要である。
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