2010 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌のバイオマス分解酵素生産制御機構と代謝経路の包括的解明
Project/Area Number |
22248007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60302197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20170334)
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Keywords | 糸状菌 / バイオマス / 転写制御 / 細胞内局在 / トランスポーター / エンドサイトーシス / ペントース代謝 / 転写因子 |
Research Abstract |
(1)セルロース分解やアラビナン分解に関与する酵素遺伝子の発現制御に関わる転写因子XlnRとAraRの高発現株のアレイ解析により、発現上昇が認められたトランスポーター遺伝子の中から発現比の大きい上位の遺伝子をそれぞれ3個と2個選択し、遺伝子破壊株を作製した。得られた遺伝子破壊株をキシロースとアラビノース、これらの単糖から成るオリゴ糖を単一炭素源とする培地上での生育を観察したが、生育の低下は見られなかった。一方、それらの遺伝子のin silico解析により、XlnR支配下の1つがセロビオースの取り込みに関わるトランスポーターの可能性が示唆された。 (2)マルトーストランスポーターMalPのN末端側にGFPを融合した融合タンパク質を作製し、各種の糖存在下での細胞内における局在様式を蛍光顕微鏡で観察した。マルトース存在下ではほとんどが細胞膜に局在しているが、グルコースを添加後に経時的な蛍光像を観察したところ、30分以内に細胞膜から液胞への移行が認められた。一方、フルクトースやスクロースにおいてもグルコースほど速やかではないものの液胞への移行が見られたが、ガラクトースやキシロースなどではMalPのエンドサイトーシスはほとんど認められなかった。 (3)未同定であったレアラビノース代謝系のL-アラビノースレダクターゼ(Lar)とL-キシルロースレダクターゼ(Lxr)遺伝子を同定することにより、麹菌L-アラビノース代謝経路を解明した。また、D-キシロースレダクターゼとL-アラビノースレダクターゼが酵素学的にも生理的にも機能重複していること、L-キシルロースレダクターゼにはバイパス経路が存在すること、これらのペントース代謝系は転写因子XlnR、AraRによって制御されており、両転写因子の同時欠損により代謝系酵素遺伝子の全ての転写産物が激減することを明らかにし、D-キシロース、L-アラビノース代謝系とその制御が解明できた。
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Research Products
(1 results)