2011 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌のバイオマス分解酵素生産制御機構と代謝経路の包括的解明
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22248007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20170334)
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Keywords | 糸状菌 / バイオマス / 転写制御 / 細胞内局在 / トランスポーター / エンドサイトーシス / ペントース代謝 / 転写因子 |
Research Abstract |
MalPの細胞内局在変化を観察するためにGFP-MalP融合タンパク質をmalPプロモーター制御下で発現させ、共焦点顕微鏡を用いて蛍光観察を行った。マルトース誘導条件下で細胞膜上へのGFP-MalPの局在化を確認した後に、アクチン重合阻害剤であるLatrunculin Bで処理し、グルコース添加後のGFP-MalPの局在変化を観察した。その結果、Latrunculin B処理を行った株ではグルコース添加後も細胞膜上のGFP蛍光が消失しないことが明らかとなった。このことから、細胞膜上から液胞へのGFP-MalPの輸送はエンドサイトーシス依存的な機構によるものであることが示された。また、MalPの液胞への輸送を誘起する炭素源は、malP遺伝子のカタボライト抑制にも関与することが明らかとなった。DNAマイクロアレイによる標的遺伝子の網羅的同定、さらに代謝系遺伝子産物については酵素学的解析を行い、ペントース代謝系酵素遺伝子を全て同定した。転写因子XlnRとAraRが制御する本代謝系酵素遺伝子には重複が見られ、両者は協調的に転写制御を行うと考えられた。また、XlnRとAraRの単独破壊株、二重破壊株におけるペントース代謝系酵素遺伝子群の転写誘導をリアルタイムPCR法によって解析した結果、二重破壊株では全遺伝子についてD-xylose、L-arabinoseによる誘導が消失した。また、L-arabinose reductaseの発現はAraRのみに依存した。一方、他遺伝子については、単独破壊は転写誘導の完全消失には至らず、誘導物質や遺伝子によっては発現レベルの上昇を引き起こした。従って、これら転写因子は協調的にも競合的にも機能すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルトーストランスポーターMalPの炭素源依存的な分解機構については、順調に解析が進行し、遺伝子の転写に影響のある炭素源によってエンドサイトーシスが起こるという新知見も明らかになった。一方、キシロースなどの新規トランスポーターの同定と機能解析は候補遺伝子の絞り込みまではできたものの、同定までには至っていない。また、ペントース代謝経路に関しては、トランスクリプトーム解析による標的遺伝子の網羅的同定、代謝系遺伝子産物の酵素学的解析により、ペントース代謝系酵素遺伝子を全て同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マルトーストランスポーターMalPのグルコースによるエンドサイトーシスに対するカーボンカタボライト抑制関連遺伝子、creA, creB, creDの関与について解析を行う。MalPのユビキチン化に関わるユビキチンリガーゼHulAとアレスチン様アダプタータンパク質CreDの相互作用を解析する。また、キシロースやアラビノース、セロビオースの細胞内取込みに関わるトランスポーターを探索・同定するとともに、これらのトランスポーターの炭素源依存的分解についても解析を行う。一方、ペントース代謝経路については、アレイ解析から見出されてきた本代謝経路を構成する遺伝子や新規候補遺伝子の単独破壊および多重破壊により、代謝経路に関わる遺伝子群の機能を明らかにする。
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Research Products
(5 results)