2010 Fiscal Year Annual Research Report
疫病菌交配ホルモンの化学・生物学的解明と受容体探索
Project/Area Number |
22248012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 新 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (30328546)
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Keywords | 疫病菌 / Phytophthora / 交配ホルモン / α2 / 有性生殖 / 卵胞子 / 受容体 |
Research Abstract |
ジャガイモなど重要農作物に感染し甚大な被害を与える疫病菌Phytophthoraは、有性生殖において交配ホルモン(α1とα2)を利用する。当該年度はこれらのホルモンについて立体構造の決定、構造活性相関、普遍性の検証を行い以下の成果を得た。 1.交配ホルモンα2の絶対立体化学の決定 15Rに固定したα2の4種の可能な立体異性体(7S,11R;7S,11S;7R,11R;7R,11S)を合成し、A1交配型に対するホルモン活性を試験することで3か所の絶対立体配置の決定に成功した。これにより2か所の立体化学(7S,11R)が活性に必須であることが分かった。 2.交配ホルモンα1の構造活性相関 α1の類縁体9種(エステル、ウレタン、脱水体、ジヒドロ体、脱メチル体)を誘導又は全合成し、A2交配型に対するホルモン活性を調べた結果、分子の右端の約1/4の領域を除くほぼ全ての官能基(1位と11位の水酸基、3位メチル基、4位ケトン基など)が活性に必須であることが分かった。 3.交配ホルモンの普遍性の検証 数株の疫病菌についてα1およびα2に対する応答(有性生殖の有無)を調べるとともに、αホルモンの生産性をLC-MSにより分析し、普遍性の傾向を見出した。また、新たに入手した疫病菌約60株について、同様のホルモン応答、生産性の実験を行い、普遍性の検証がおおむね完了した。しかし、数種の疫病菌株に生育不良が見られたので、これらの株を再度購入し、同様の実験を行い追加のデータを得ることができた。なお、ジャガイモ疫病菌については培養が困難なので次年度もう一度検証実験を行う。
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Research Products
(3 results)