2012 Fiscal Year Annual Research Report
レーザインサイジングによるスギ耐火集成材および耐火面材の開発に関する基礎的研究
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22248019
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
服部 順昭 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90115915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 恵介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70262227)
原田 寿郎 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353818)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 耐火集成材 / 1時間耐火 / FRウッド / レーザインサイジング / ドリルインサイジング / スギラミナ / CLT / 難燃薬剤 |
Research Abstract |
建築基準法第61条他の改正で、防火地域や準防火地域には、小規模建築物を除き、耐火建築物しか建てられなくなった。集成材で被覆した鉄骨やモルタル板を表面から少し内側に挿入した集成材、45 mmの石膏ボードで被覆した壁などが国土交通大臣認定を得て、実使用され始めたが、従来の木造とは違う。 本研究は、スラブCO2レーザでラミナの一部にインサイジングを行い、その部分にだけ難燃薬剤を加圧注入し、集成化した柱、梁、外壁、防火扉に使える耐火2時間の部材開発の基礎を確立するものである。開発する耐火集成材や耐火壁は、鹿島建設により商標登録されてFRウッドと名付けられ、外層に厚さ10 mm程度の無処理材を、その内側にむら無く難燃薬剤を注入した厚さ50 mm程度の難燃処理層を、内部には無処理ラミナを配置するもので、難燃処理層の断面形状は、集成材ではシェル型に、直交積層材(CLT)では全体が5層又は7層構造の内の片面の2層又は両面の4層となる。 FRウッド実用化の課題である生産ライン建設と製造コスト低減のために、インサイジング密度の低減、ドリルインサイジングの採用、並材利用の可否について検討した。インサイジング密度を現行の3/4、1/2、1/4に減らして両インサイジングの注入量を比べた結果、密度低下に伴う注入量減少は2、5、10%程度で、何れの場合も注入量の最低基準である120 kg/m3を上回ったことから、インサイジング密度が下げられること、両インサイジング法には顕著な差は見られずドリルインサイジングが使えること、レーザインサイジング並材の注入量減少は9 %程度で並材も使えることが分かった。 試作CLT耐火壁でも1時間耐火性能が得られたので、FRウッドは間仕切り壁や外壁にも使えることが分かった。この間に、スギの1時間耐火集成材を用いた初めての3階建て木造建築物の建設が文京区の防火地域で始まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度までは研究が概ね順調に進んだが、次年度以降は下記の理由により研究は大幅に遅れると予測される。 本技術の普及にはドリルインサイジングと注入、集成化ラインの建設が必要だが、そのための基本技術を研究する本研究の最終年度前年度の申請を基盤研究(B)で行ったが、採択されなかったので、国産材自給率50%と言う目標と公共建築物等への木材利用促進法の推進のための技術的支援が大幅に遅れる。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザインサイジングとドリルインサイジングを行ったスギラミナに注入した難燃薬剤の蛍光X線顕微鏡による分布観察などによるミクロな耐火性の評価と、国産材利用を支援するために、スギに加えてヒノキラミナの使用の可能性を検討する。 最終目標は、ラミナにはスギでもヒノキでも使用可能な耐火2時間の集成材と面材の耐火試験合格と国土交通大臣認定の取得による都会での純粋な木造建築の実現である。
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Research Products
(7 results)