2011 Fiscal Year Annual Research Report
TOF-NIRデンシトメトリによる新奇木材材質計測手法の確立
Project/Area Number |
22248020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土川 覚 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英史 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40221840)
山本 浩之 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50210555)
藤本 高明 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40446331)
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Keywords | 近赤外 / 飛行時間 / 非破壊計測 / 分光分析 / 木材 / 材質評価 |
Research Abstract |
木材の新しい非破壊計測手法として近赤外分光法を適用することが提案され、多くの研究が行われている。しかしながら、従来使用されてきた低出力光源の装置では試料表面近傍の情報しか得ることができなかった。したがって近赤外分光法の非破壊計測手法としての長所を備えつつ、試料内部の情報を得ることができる計測系が確立されれば、本法の木材への適用範囲をより広げることができる。 そこで本研究では、時間飛行近赤外(TOF-NIR)デンシトメトリという新奇の分光学的手法を創出し、これに基づいた非破壊木材材質計測手法を確立することを目指して、一連の実験を行った。昨年度の基礎的検討を踏まえて、高出力を持つ近赤外レーザ光を試料に照射して透過光出力を測定するシステムを2種類提案した。1つは木材に連続光を照射し透過光量を測定するものであり、もう1つはパルス光を照射し、透過光の伝播状況を観察するものである。木材の密度評価の可能性について検討することを目的として、系統的な実験を行った。 供試材料のベイマツに近赤外レーザ光(CW光)を照射し透過光量を測定した。測定波長は780nm、830nm、904nmとし、電動パルスステージにより照射位置を移動させながら測定を行った。木材の早材部・晩材部の透過光量の違いを調べた。また、ストリークカメラを用いて、試料内部でのパルス光(ピコ秒オーダの極短時間パルスレーザ光)伝播状況(波長846nm)を観察した。早材部・晩材部の光強度のピーク値およびピーク時間の違いを調べた。また、X線デンシトメータを用いて測定した値との対応を調べた。 いずれの測定方法においても、早材部と晩材部で、密度に対応して透過光量が明瞭に変動した。CW光の照射スポット分解能に対応して、X線デンシトメータと同様の密度変化をとらえることができた。また、パルス光測定では、晩材部で透過光度のピーク値の減少およびピーク時間の遅れが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピコ秒オーダーのパルス光を木材に照射して、その変動から材質を推定するためには、装置系の信頼性を十分高める必要がある。CW光とパルス光計測実験結果を比較検討することにより、高精度での測定を行えることが実証され、次年度からの本格的な試料測定が可能となった。このことより、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の項目を実施する。 1針葉樹および広葉樹を対象としたCW光実験および透過パルス光測定実験を行う。レーザ光スポット径をいろいろ変更し、繊維長、ミクロフィブリル傾角、強度等を従来法によって求める際の試料寸法に適合した領域の光情報を得る。 2TOF-NIR測定後の木材試料を、X線デンシトメータを用いて測定する。 3透過パルス光の時間プロフィルおよび物理的・機械的特性の実測値に基づいて、時間プロフィルのシミュレーション実験を行う。
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