2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22248021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 豊二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70221190)
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Keywords | 浸透圧調節 / ティラピア / トラフグ / 遊離アミノ酸 / アミノ酸輸送体 / 血漿浸透圧 / コラーゲン / 温泉 |
Research Abstract |
体液は血漿や組織液などの細胞外液と細胞内液に分けられるが、細胞内液における浸透圧調節機構は知見が乏しい。そこで本研究では、細胞内浸透圧調節機構の解明を目的とし、ティラピアおよびトラフグの筋肉細胞を用いて実験を行った。また浸透圧が違う環境水での食味の違いも同時に検討した。水および海水馴致ティラピアで細胞内の低分子有機物量を調べたところ、海水群で15mM高く、これは細胞外液の浸透圧差と同一であったことから細胞内では低分子有機物が浸透圧調節に寄与していることが分かった。低分子有機物の詳細を調べると特に遊離アミノ酸が重要であった。また、淡水から70%希釈海水への移行実験にて血漿浸透圧、水分含量、遊離アミノ酸量の関連を調べたところ、遊離アミノ酸の変化は血漿浸透圧と同期しており、細胞膜内外の浸透圧差をなくすため、細胞内で遊離アミノ酸量を調節していることが示唆された。またアミノ酸膜輸送体PATIを同定し、アミノ酸供給源として細胞間に豊富にあるコラーゲンを分解し産生したアミノ酸を取り込んでいることが示唆された。食味の観点からは、海水移行後24時間でアミノ酸濃度が1.34倍、また水分含量も変化していることから呈味性、食感が異なる可能性がある。次に狭塩性魚での細胞内浸透圧調節機構を検討するため「温泉トラフグ」を用いた実験を行った。このトラフグは栃木県那珂川町にある1/3希釈海水とほぼ同様の成分の温泉で飼育されたもので、海水トラフグと比較し、体液浸透圧、水分含量ともに変わらず、生理的に適応できていることが分かった。またアミノ酸含量にも大差なく、呈味性、食感ともに同水準と推測された。また、温泉水から海水への移行実験を行った結果、血漿浸透圧の変動に時間差はあるものの、膜内外の浸透圧差をなくす方向への遊離アミノ酸量変動がみられ、狭塩性魚においても遊離アミノ酸による浸透圧調節が行われていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Electroneutral cation-Cl^-cotransporters NKCC2β and NCCβ expressed in the intestine and rectum, respectively, in Japanese eel Anguilla japonica2011
Author(s)
Watanabe, S., Mekuchi, M., Ideuchi, H., Kim, Y.K., Kaneko, T.
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Journal Title
Comp.Biochem.Physiol.A
Volume: 159
Pages: 427-435
Peer Reviewed
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