2011 Fiscal Year Annual Research Report
高効率な分子構築法に基づく細胞機能制御活性創薬リード天然物の合成
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22249001
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 範 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20143000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 淳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80250413)
高橋 圭介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60380854)
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Keywords | 全合成 / 天然物 / オキサゾロマイシン / ウエルウィスタチン / カイトセファリン |
Research Abstract |
本研究では、強力かつ特異的な細胞機能制御活性をもち医薬開発リードや生物学研究のツールとして有望視されながら天然から純粋な形での供給が困難な状況にあるオキサゾロマイシンA、ウエルウィスタチン、およびカイトセファリンを研究対象として取り上げ、全合成研究をとおしてその量的供給を可能にする効率的合成法を確立することを目的としている。まず、オキサゾロマイシンAに関しては、前年度に開発した合成ルートにさらに保護基や反応条件等で改良を加え、他の類縁化合物の合成にも適用できる一般合成法を確立した。さらに、有機触媒反応を活用し、左セグメントに相当する構造を持つ天然物であるインソマイシンA、B、Cの不斉全合成にも成功した。ウエルウィスタチンに関しては、γ-ラクトンのシリルケテンアセタールと2-(4-ブロモ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-オールのLewis酸触媒下のカップリング反応、ラクトンへのアセトニトリルの求核付加に基づくα-シアノケトンの構築、およびパラジウム触媒下のタンデム環化反応を経るルートを検討し、本天然物のコア構造であるインドリノン環に縮環したビシクロ[4.3.1]デカン骨格の立体選択的な合成法の開発に成功した。カイトセファリンに関しては、前年度に開発したスルファメートのロジウムを触媒とするC-Hアミノ化を経る置換ピロリジン構築法に基づき、鍵合成中間体を大量合成し、さらにカルバメートのロジウムを触媒とするC-Hアミノ化、フェニル基とシクロペンテン環の四酸化ルテニウム酸化を経て、その立体選択的全合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標に設定したオキサゾロマイシンA、ウエルウィスタチン、およびカイトセファリンの中、オキサゾロマイシンAとカイトセファリンについては、最終年度を前に既に、独自のインジウム触媒Conia-エン反応ならびにロジウム触媒C-Hアミノ化を基軸とする新規複素環構築法を開発するとともに、それらの高立体選択的全合成に成功した。さらに、有機触媒を用いる酸塩化物とアルデヒドの不斉[2+2]環化付加反応に基づく方法論を開発し、オキサゾロマイシン類縁天然物インソマイシンA、B、Cの全合成にも成功した。ウエルウィスタチンの合成研究においても、これまでに前例のないパラジウムを触媒とするエノラートのタンデムアリール化・アリル化に基づく環化法を考案し、コア構造であるインドリノン環に縮環したビシクロ[4.3.1]デカン骨格の立体選択的な合成に成功している。加えて、当初の研究計画にはあげていないが、メシチリン耐性菌に対して強力な抗菌活性を示す環状ヘキサペプチドNW-G01の初の全合成に成功し、その絶対構造を決定できた。また、不斉有機触媒アルドール反応に基づき、抗マラリア活性アルカロイドであるキニーネおよびキニジンの不斉全合成にも成功した。以上、有用な新規合成法の開発と複雑な構造ならびに生物活性を有する天然物の全合成の達成という観点から、本研究は、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、研究計画の変更は特にない。すなわち、既に全合成の完成しているオキサゾロマイシンAとカイトセファリンについては、将来の構造活性相関研究に繋がる誘導体合成にとって有用な合成方法論について検討する。ウエルウィスタチンについては、全合成の完成を目指す。
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Research Products
(9 results)