2011 Fiscal Year Annual Research Report
OMRIを用いた酸化ストレス疾患モデルにおけるレドックス動態の画像解析研究
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22249003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任教授 (20101694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 健一 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60346806)
市川 和洋 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (10271115)
兵藤 文紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (10380693)
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Keywords | 薬学 / 生物物理 / 生体分子 / 可視化 / 血圧 / 交感神経系 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究は画像化手法の開発と最適なプローブ剤の合成・探索を行い酸化ストレス疾患モデルに応用することで、「新たなレドックス分子イメージング手法を確立し酸化ストレス疾患の創薬・治療戦略を提案」することを研究目的としており、平成23年度は以下の成果を得た。 1)脳神経疾患に関しては、ドパミン神経障害メカニズムにミトコンドリア電子伝達系を介した酸化ストレスが関与するか否かについて、6-OHDA投与ラットを用いて検討した。OMRIを用いて評価した結果、対照側と比較し6-OHDA投与側ではmethoxycarbonyl-PROXYLの反応速度定数が有意に低下した。さらに電子伝達系活性とよく相関していることから、本手法を用いることでミトコンドリア機能の一部を画像として捉えることに成功した。 2)抗がん剤(シスプラチン)が誘発する腎障害モデルを用いた研究において、シスプラチン処置後の72時間において、腎障害を臨床マーカーで確認した。一方オーバーハウザーMRIを用いたレドックス変動の画像解析では、シスプラチン投与3時間後より腎臓における有意なレドックス変動を検出した。またそのときに生体内の重要な抗酸化物質であるアスコルビン酸は72時間で初めて変動したのに対し、グルタチオンは3時間より減少していた。以上の結果より、シスプラチン誘発腎障害の酸化ストレス変動においてグルタチオンの関与が強く示唆され、in vivoでの変動をOMRIで検出でいることを明らかにした。 3)アンジオテンシン受容体拮抗薬であるオルメサルタンと長時間作用型カルシウム拮抗薬であるアゼルニジピンの併用治療を高血圧モデルラットに対して30日間の降圧治療を行った。併用療法によって強力な降圧効果を得た。また、生体計測電子スピン共鳴法で観察した脳内酸化ストレス抑制と関連して交感神経抑制効果が認められた。 4)またより高精度なレドックス画像を取得するために、新たなOMRI用コイルを設計・取得し研究に展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では現在までのところ、当初の計画以上の疾患モデルにおける解析を進めており、酸化ストレス変動(レドックス変動)の生体解析に成功している。これらの成果を踏まえ、さらに本法の応用性の拡充を図る目的でいくつかの疾患モデルにおいて、抗酸化物質を用いた酸化ストレス疾患の治療効果の分子イメージングへ移行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、我々が開発したレドックス分子イメージング装置であるOMRIを用いることで、生きた動物におけるレドックス動態情報をリアルタイムに可視化し、病態におけるレドックス変動の評価に非常に有用であることを明らかにしてきた。そこで今後はさらにOMRIの疾患モデルへの応用を拡充し、様々な疾患における酸化ストレス評価基盤の固め、OMRIを用いた病態画像解析の創薬や治療戦略へ向け展開する。
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