2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによる炎症と抗炎症のバランス制御機構の解明
Project/Area Number |
22249009
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90182815)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / インターフェロン / SOCS / 炎症 / アレルギー / 自己免疫疾患 / STAT / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究は免疫応答の恒常性を支えるシグナルバランス制御の基本原理の解明を目的に、免疫担当細胞、特にT細胞や樹状細胞の分化および活性化とシグナルバランス制御のメカニズムとシグナルバランスの破綻による免疫関連疾患発症機構を明らかにする。本年度はまずサイトカインシグナルの制御因子であるSOCSについて抑制性T細胞Tregにおける機能を明らかにした。SOCS1欠損TregはRag欠損マウスや試験管内培養によってFoxp3を失いやすく、かつIFNγやIL-17を自発的に産生し抑制活性が低下していた。よってSOCS1がnTregにおいてFoxp3の安定性およびサイトカイン産生抑制に寄与することが明らかとなった。次に新たなFoxp3発現維持機構を発見するために、nTregで発現の高い転写因子のcDNAを選択し、Foxp3プロモーター/ルシフェラーゼによる機能的なスクリーニングを行った。その結果NR4a2がFoxp3プロモーターを直接活性化することを見いだした。さらに当年度はIL-10やTGFβによらない第三の抑制システムを発見した。我々は獲得免疫系(特にTreg)を欠損するRag欠損マウスでも自然免疫系の過剰応答が起こらないことに着目し、第二の抑制系の存在を想定した。腸上皮細胞培養液や腸抽出液において樹状細胞やマクロファージのTLRリガンドによる活性化を抑制する因子が存在することを確認した。精製や解析の結果、この因子はPGE2であることを確認した。Rag欠損マウスにインドメタシンを投与しPGE2の産生を抑制したところ極めて重篤な腸炎を発症した。この腸炎はTregの移入や腸内細菌の除去、あるいはPGE2受容体EP4のアゴニストの投与によって軽快した。よってPGE2-EP4経路は個体においてもIL-10と独立して機能する抑制系であることが確認された。
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Research Products
(4 results)