Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70435957)
佐々木 成子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30448831)
室橋 春光 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (00182147)
中島 そのみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (70325877)
白石 秀明 北海道大学, 病院, 助教 (80374411)
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Research Abstract |
1.胎児期の環境要因が児の成長発達や疾病発症に及ぼす影響を解明するために立ち上げた2つの前向き出生コホートの詳細な追跡調査を実施し,乳幼児期から学童期の神経行動障害(ADHDなど)や免疫アレルギー疾患に及ぼす影響をアウトカムとして検討している。環境化学物質として母体血中ダイオキシン・PCBs異性体類426名,母乳中ダイオキシン・PCBs異性体類250名,母体血中PFOS/PFOA447名の測定を行った。 2.1産院ベースコホートでは,妊娠期,1歳6ヵ月,3歳6ヵ月,7歳時の両親または児の食習慣・生活習慣・職業歴・居住環境・育児環境等を詳細に調べている。児の神経行動発達検査は、6ヵ月,1歳6ヵ月,3歳6ヵ月時の検査が終了し,7歳時の認知能検査(WISC-III),前頭葉機能検査(ウィスコンシンカードソーティングテスト),運動機能評価(上肢運動遂行検査)および遊び行動の調査を継続して追跡調査中である。大規模コホートでは,7歳時のADHD関連症状を評価するConners 3Pおよび行動評価のスクリーニング調査である日本版CBCL(第3版)を実施するための準備を行っている。 3.6ヵ月と1歳6ヵ月時のBSID-IIと母体血中PCBs・ダイオキシン類濃度との関連を解析した。母体血PCBs・ダイオキシン類濃度が高くなると6ヵ月のBSID-IIのMDI,PDI得点は有意に低下し,PDIでより多くその関連がみられた。しかし,18ヵ月ではMDIと1つの異性体,PDIでは2つの異性体と1つのTEQ値にしか有意な負の関連は認められなかった。3歳6ヵ月時の認知能検査では,母体血中PCBs・ダイオキシン類濃度とK-ABCの習得度スコアとの間に有意な正の関連が認められた。 4.母の遺伝的感受性素因が児に及ぼす影響を解明するために,母体血中ダイオキシン類濃度とAhR遺伝子(G>A,Arg554Lys)とAhRR遺伝子(C>G,Pro185Ala)の多型との関連を解析した。AhR遺伝子多型ではGA/AA型と比べてGG型でTotal Non-ortho PCBsとTotal Mono-ortho PCBs濃度が有意に減少し,異性体別ではNon-ortho PCBsの2種,Mono-ortho PCBsの4種で有意に減少した。しかし,AhRR遺伝子多型では有意な関連は認められなかった。
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